冬はなんだか気分がふさぎがち。それにはじつは理由があり、不安感が増したり、うつ傾向の人が増える季節でもあるのです。今回は内科医・心療内科医で『心療内科医が教える本当の休み方』(アスコム刊)などの著書で知られる鈴木裕介さんに、“冬季うつ”の症状や対策を教えていただきました。この時季、落ち込みやすい人は必見です。
すべての画像を見る(全3枚)この時季、過食・過眠ぎみなら冬季うつの可能性も
冬季うつとは「季節性感情障害(SAD)」と呼ばれるもので、とくに緯度の高い地方で冬に太陽浴びない生活を続けていると頻度が高まる気分障害です。意欲や気力の低下などの症状が見られます。原因は、日照時間の低下によって幸せホルモンである「セロトニン」の分泌が低下することなどが考えられます。
冬季うつが、いわゆる普通の「うつ」と異なるのは、意欲や気力が低下するなかで、過食や糖質摂取に偏ることや体重増加、過眠傾向にあることです。普通のうつが食欲の低下や体重減少、不眠や中途覚醒が症状として現れるのと対照的です。
冬季うつの対策2つ
冬季うつは軽度から重度まであります。なんとなくうつっぽい、気分が上がらないと感じている場合も含めて、対策を行ってみましょう。
ここでご紹介する対策は、「高照度の光を浴びる」ことと、「セロトニンの原料となるトリプトファンを摂取する」ことの2つです。
1:高照度の光を浴びる
太陽のある方向を見ましょう。目の網膜を刺激すると、セロトニンが合成されやすくなります。
明るさは「光照度=ルクス(lux)」で表されますが、目安として2500~1万ルクスの光を浴びることをおすすめします。太陽光は圧倒的に光照度が強く、快晴の日の屋外は10万ルクス、くもりの日は1万ルクス程度といわれています。たとえくもりであっても、太陽の光を浴びるだけでもOKです。
その他、家庭で使えるすえ置きタイプやメガネタイプなどの光を発するデバイスも販売されていますので、活用してみてください。
2:セロトニンの原料となるトリプトファンを摂取する
セロトニンを合成するには“トリプトファン”というアミノ酸が必要。とくにタンパク質の多く含まれている食材がおすすめ。魚や肉、卵、大豆、野菜などとても幅広い食品に含まれていますので、積極的に食べておきたいもの。
加えて、ご飯やパンなどの糖質の食べ過ぎには注意です。糖質は、一時的にはインスリン分泌を促進してトリプトファンの脳への取り込みを促進します。短期的にはセロトニンを増やしますが、ストレスホルモン(コルチゾール)も分泌されてしまいます。またセロトニン分泌を促すものの、原料は枯渇しやすくなってしまうのです。よって糖質の多い食材からセロトニンを増やすことはおすすめできません。
料理をすること自体、メンタルにいい影響を与えるため、卵や大豆など、簡単で手に入りやすい食材から試してみてください。