持続可能な社会をつくるための「SDGs」。じつは私たちの暮らしのなかで取り組めることがたくさんあります。この夏米不足、米の価格高騰に悩まされた日本。一方で海外や国内で「おにぎり」の人気が高まっています。SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんが、おにぎり人気の状況と期待できる効果、「食の持続可能性」についてレポートします。
すべての画像を見る(全5枚)国内外で「おにぎり」がブームに!
今、海外で「おにぎり」がブームに。アメリカやフランス、ソウルなどで次々と「おにぎり専門店」がオープンし行列の店もあるよう。手軽に食べられて、しかもヘルシー。小麦粉を使っていないグルテンフリーや完全菜食主義=ビーガンな食べ物としても人気だとか。
このことを知り、幼少期のことが脳裏に浮かびました。11歳から2年半をニューヨークで過ごした私は、学校に各自が持参するランチに母がつくった「おにぎり」をもっていったら、「なんだそれは!」と、気持ち悪がられました。
とくに、「のり」を見たことがないらしく、白い米のかたまりに「真っ黒の紙状のもの」が巻かれているのが不気味に映ったようです。以来私はそれを指摘されるのがいやで、昼食にはパンをもっていくようになりました。
あれから45年、日本食はオシャレな食べ物となり、当時の同級生たちは今頃、私がいかに“最先端”だったかがわかったことでしょう(笑)。
おにぎりブームの一方、日本の米消費量が減っている
「ONIGIRI」として海外でも食べられるようになったおにぎりですが、最近日本でも専門店が増えていますよね。具材の種類も多いので私も好きでよく買っています。
10月19日・20日に東京・丸の内で開催されていた「NIPPON FOOD SHIFT FES.東京 2024」でも今年はおにぎりが1つのテーマになっていました。日本の食の未来について考えるイベントで今年で4回目です。
おにぎりが日本のソウルフードとして国内外で再評価されている一方で、こんな意外なデータもあります。
おにぎりの需要は増えていても、日本のお米の消費量は年々減っているのです。農林水産省によると、1人が1年間に食べるお米の量は、1962年の118.3kgをピークに減少傾向にあり、2022年は50.8kg半分以下に。
お米をつくる人も年々減っていて、高齢化が止まりません。日本の農業従事者の平均年齢は68.7歳(令和5年農業構造動態調査)で、常に後継者不足に悩まされています。
「米不足」になってしまった背景は?
この夏、お米が手に入りづらい状況になったことは記憶に新しいと思います。
それにはさまざまな要因がありますが、その1つはそもそもお米の消費量が減っているために米が余らないよう供給量を調整しているなか、なにかのきっかけで需要が急に増えると手に入りづらくなってしまうのです。
異常気象も要因の1つ。地球“沸騰化”が現実味をおびる中、お米だけではなく、野菜や小麦粉、オリーブオイル、コーヒー等の飲料など食品の値上げが止まりません。
原材料の高騰のほか、物流費、円安、人件費などさまざまな要因が重なって、この10月に値上げした食品は実に2911品目に及びます(帝国データバンク調べ)。最近はスーパーで値段を見て思わず買うのを躊躇してしまうことも…。