フレンチテイストを加えたベーシックスタイルが幅広い世代に人気のスタイリストの福田麻琴さん。現在40代で1児の母でもあります。福田さんは30歳のときにパリに留学をして以来、街はもちろん出会った人々にも魅了されたそう。影響を受けたパリの人々とのエピソードを伺いました。
すべての画像を見る(全6枚)つねに「自分は自分」なパリの人たち
行ってみたら「フレンチシック、かわいい」「街がきれいで素敵だな」レベルではなく、一気にパリに魅了されてしまいました。いちばん影響を受けたのは、つねに「自分は自分」なパリの人たち。
パリに来る前の私はファッションが好きではあったけれど、自分がなにを着たいか、どうしたいかよりも流行に気持ちが傾いていたし、人の目に自分がどう映っているのかも気になっていました。
でも、パリの人たちときたら、まったく気にしていないし、自分がいいと思うならどんな格好でもOK。たとえノーブラでも「それがあなたのスタイルなのね!」と。
留学前に仕事をしていた媒体からのオファーで、たまにパリの街中でスナップ撮影をすることがありました。初対面の私にパリジェンヌたちは「私って青が似合うじゃない?」「黒ニットとデニムといえば私だから」と話が始まるのです。
いやいや、初対面だし、あなたのスタイルなんて知らないよ~! と思いつつも、みんながちゃんと私はこういうスタイルが似合うというのを熟知していることに驚きました。
憧れの人が「いちばん大切」にしていたもの
一度、雑誌の取材で高校生の頃から憧れ続けていた「アニエスべー」のデザイナーであるアニエス・トゥルブレさんにパリで取材する機会にも恵まれました。
そのたたずまいやチャーミングな笑顔、着こなしも本当にすてきでますます好きになりましたが、いちばん心に残ったのは「いちばん大切なものは?」と質問したときの答えです。
何度か結婚もされているし、5人のお子さんがいらっしゃる方なので、子ども、パートナー、恋愛、家族、仕事など…いろいろ想像していたのですが、彼女の答えは「女友達」。
パートナーは別れるかもしれないし、子どももいつか巣立ってく。年齢を重ねても、他愛のないメッセージのやりとりをしたり、一緒にレイトショーを見に行ったり、おいしいご飯を気兼ねなく食べにいける女友達を大切にしなさいって。続けて「日本の女性はもっと自由になっていい」ともおっしゃっていました。
今もまだ子育て真っ只中ですが、当時は今以上に子どもに手もかかっていたので、女友達との時間から少し疎遠になっていました。でも、彼女の言葉を聞いて、家族との時間はもちろん大切にしたいけれど、同じくらい女友達との時間を持とう、そして妻でも母でもなく、“個”であることを意識しようと決めました。