日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。卵巣の病気を患った正美さん(仮名・36歳)。20代で若くして結婚し、妊活に励むものの、なかなか結果に結びつかず。「神様なんていないんだな」と感じるほど追い詰められてしまった当時のお話をしていただきました。

◆前回のお話はこちら!

「2週間に1回って少ない?」。行動が伴わない夫にイライラ:セックスレス・正美さんの場合1
叱責
パワハラしてきた相手が子連れで… ※写真はイメージです
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排卵誘発剤を飲みながらの妊活。何度も通院する苦しさ…

社内恋愛の末、23歳で結婚した正美さんは、卵巣の病気に。夫は前向きに「妊活を早めに始めよう」と言ってくれたものの、2週間に1回程度という夫婦生活の頻度はなかなか増えず。排卵誘発剤の副作用に耐えながら、ひとり思い悩む日々が続いてしまいました。

「排卵誘発剤を飲み始めて2、3か月したころ、卵巣が腫れておなかが痛くなることがありました。通院のときだけでなく、副作用による体調不良のときにも会社を休まねばならなくなり、そのたびに、私とペアで仕事をしていた指導係の先輩女性から嫌味を言われてつらかったです」と正美さん。

職場の女性からきつい嫌がらせ。夫にも言えなかった

パワハラ
※写真はイメージです

よくある女性同士のいざこざではあるものの、異動したばかりの新しい職場にこのような事態を相談できる人はいませんでした。大事なことを正美さんにだけ教えないなど、指導係とは思えないような悪質な嫌がらせもあったといいます。けれど、心配をかけたくなくて、夫にすらなかなか言い出せずにいました。

「夫も転勤したばかりで、多かれ少なかれ、きっと同じようなことはあったと思うんです。私だけ辛いみたいには言えず、ひとりで考え込むことが増えていましたね。夫はそんな私の様子に気がついてすらいなくて…」

病院でエコー検査をしてもらい「卵が順調に大きくなっていますよ」と言われ、「そろそろ排卵、タイミングを!」という日に夫は仕事だったり、飲み会が重なったりで帰りが遅くなることもしばしば。そのことでケンカになることも増えました。

怒鳴られても夫婦生活をがんばった

ベッド
※写真はイメージです

たとえば、どういう状況でケンカになってしまったのですか? と聞いてみました。

「もうこっちは必死に卵を大きくして今夜じゃなきゃダメという状況なんです。仕事や飲み会も困るけれど、せっかく家にいるときでさえ、『疲れた』とか『そんな気分じゃない』とか言われて断られて。私もいろいろ考えてマカのドリンクを用意したこともありました。けれど、夫に『こんなもの返してこい!』って怒鳴られたりして。恥ずかしいとか言っていられないくらい私は必死なのに、妊活に対する夫との温度差がすごかったです」

けれどそんな正美さんの懸命な努力もあり、排卵誘発剤を飲みながらタイミング法を続けた1年半後、無事にかわいい男の子が誕生しました。

天使のようなわが子を抱きながら思ったこと

「もしかしたら一生授かれないかも…と思っていたなかで誕生した待望のわが子です。出会えた瞬間から、特別な感情に包まれました。もちろん育児は大変でしたが、それ以上に、日々喜びのほうが大きかったですね。夫もきっと同じ気持ちだったと思います。すぐに二人目がほしいねと意見が一致しました」

生理が再開してからまた病院で子宮や卵巣、排卵状況の経過を観察してもらい、それから約1年。医師から2人目妊活のOKが出てから、排卵誘発剤を再開しました。

長男を保育園に預けながら仕事にも復帰。1人目の育児に加えて、またあの体が重たくなるような腹痛と仕事との両立というハードな日々が始まったのです。

それでも、もう一人欲しい! という正美さんの強い願いが通じ、2人目は比較的すぐに懐妊。家族が増える喜びをかみしめていた矢先に悲劇が起きました。

病院へ行ったときには、もう手遅れだった…

悲しみ
※写真はイメージです

「職場には安定期に入ってから話そうと考えていました。仕事をしていたら激しい腹痛に見舞われて、そのままトイレで大出血。ただ事ではないと思い、助けを求めて救急搬送されたんです。けれど、病院でエコーしてもらったときには、赤ちゃんの心拍の確認ができなくなっていました」

完全に流産していたため、手術の必要はなく、今後の妊娠にも影響がないという説明をされたそう。それでも大きな痛みを伴い、心身ともにボロボロになり、絶望のどん底へ突き落とされた正美さん。この気持ちを分かってくれる人はだれもいなかったといいます。