非常用持ち出し袋を用意していても、外出先で被災すると役に立ちません。そうならないためにも普段から持ち歩きたい、「命を守るための最低限の道具」の選び方をご紹介します。教えてくれたのは、近著に『災害からテロ、ミサイル攻撃まで まさか!?の非常事態で「死なない技術」』 (扶桑社ムック)がある、自衛隊危機管理教官の川口拓さんです。
すべての画像を見る(全7枚)常に持ち運べる小さな非常用持ち出し袋「EDC」。その中身とは?
写真は、私が毎日持ち歩いている「EDC」というもの。「EDC」とはエブリデイキャリーの略で、毎日持ち歩く道具類のこと。
左のポーチの中に、3日間命を守るための道具を入れている。加えて、水筒代わりに、ボトル型の浄水器を携帯。こちらは、「セイシェル サバイバルプラス」いう製品で、放射性物質セシウムまで除去する浄水力を誇るボトル型の浄水器。残留農薬や重金属など、多くの化学物質も除去してくれる。
「非常持ち出し袋」は、災害時に持ち出すものだが、このEDCは職場や学校などに毎日持っていったり、車の中に常備しておいたりするもので、中身は人それぞれ。
私が小さなEDCポーチの中に入れているものを詳しく紹介しよう。タープや薄い寝袋など、体温を保持するものが中心で、あとは自分の存在を知らせるためのホイッスルとミラーも入っている。
最低限のサバイバル活動を展開するための道具だ。最低限なので、自然と体温を保持するための道具が多くなっている。ポイントはタープとエマージェンシービビィ(非常用寝袋、保温性が高い)だろうか。これらがあれば雨風がしのげる空間がつくれ、体温が保持できる。そして体温さえ保持できれば、3日間は生き延びることができる。
EDCポーチの中に入れている「6つのアイテム」
私が持ち歩いているEDCポーチに入れているのが、以下6品だ。
・粉塵マスク
災害時は粉塵が舞って呼吸しにくいことが多い。吸い込むとのちに健康被害が生じることもある。
・非常用寝袋
体の熱を反射する素材を使用しており、とても暖かい。ポーチに収納すると手のひらサイズになる。
・タープ
非常に軽量で、コンパクトに折り畳むことができるタープ。これでシェルターがつくれる。
・ライター
必要ないものかもしれないが、私はチャンスがあればできるだけ火を焚きたいと思っているので持ち歩いている。
・ミラーとホイッスル
孤立してしまう可能性も考え、助けを呼ぶための道具も入れている。ミラーは太陽光を反射させて光のシグナルを発信できる。
・携帯トイレ
ポケットティッシュの半分ほどのサイズの携帯トイレ。水分を吸収して素早く固める。
私は移動のほとんどを車に頼っているので、少しEDCの中身が多めになっている。毎日、会社や学校に電車で通う人の場合は、タープはかさばりすぎるかもしれないし、そもそも都市部であれば必要ないものかもしれない。
こまごました道具はEDCポーチに収納して携帯し、それとは別に新聞紙や応急処置用品などを車に積んでいる。
また、ボトル型の浄水器は、毎日使う水筒として持ち歩いている。なにが必要かを考え、道具を厳選しパッキングする作業は、なかなか楽しいものなので、ぜひ自分のEDCをつくってみよう。