家好き芸人・アンガールズ田中さんが、ユニークにリノベーションされた建物を訪ねました。向かった先は、東京の下町にある、明治時代から地元の人たちに親しまれてきた、銭湯だった木造の建物。今はカフェ&オフィスとして再利用されています。番台に座ったのは初めての体験という田中さん。改修を手掛けた「ヤマムラ」建物再生室長の中村さんの説明に興味津々の様子。
すべての画像を見る(全17枚)慣れ親しんだ銭湯の建物を残していきたい
田中:屋根が力強くてカッコいいですよね。シンメトリーなのも美しい。
中村:下町にはこういう立派な構えの銭湯がたくさんありました。奥に見えているのが天井の高い浴室側の屋根。手前側は脱衣室なので、外から見えないように、以前は塀が高くなっていましたが、今はカフェになったので塀を低くしました。
田中:緑が多いし、中がちょっと見えた方が、お客さんも入りやすいですよね。
中村:快哉湯(かいさいゆ)は明治時代(建物は昭和初期に再建)から2016年に廃業するまで、近隣の方たちに親しまれた銭湯です。私は山形生まれですが、父は実家が入谷で快哉湯の常連でした。私も学生時代に住んでいて、快哉湯に来ていました。大学では建物再生を学び、今は古い建物を活用するNPOにも所属しているのですが、たまたまそこに快哉湯のオーナーから「銭湯としては続けていけなくなったが、建物を残していくアイデアはないか?」と相談があったのです。
田中:「俺がやるしかない!」って話ですよね(笑)。すばらしい巡り合わせ。
昔ながらの銭湯の風情が漂う外観。田中さんが絶賛した立派な屋根には、前日東京に降った雪がうっすら積もり、情緒たっぷり。
「見事な外観だし、入母屋が3つあるのは珍しいと思います。ほぼ手を加えずに残せて、とても気に入っています」と中村さん。
玄関を入ると、両側の壁面には昔ながらの木札のゲタ箱がそのまま残されており、脱衣所への扉も当時のまま。懐かしい雰囲気に包まれます。右の扉(写真)には「女」、左の扉には「男」の文字が。
玄関の正面に置かれていたロッカーは、入れ方にクセがある傘入れ。これも当時のままで、内部には水を受ける筒状の容器が設置されており、傘を横にして差し込めるようになっています。