脱衣所は銭湯の常連客も集う憩いのカフェに

脱衣所がおしゃれなカフェ空間に
すべての画像を見る(全17枚)

脱衣所がおしゃれなカフェ空間に。男湯と女湯の脱衣所を仕切っていた鏡張りの壁は、そのまま残されています。奥のガラス扉の向こうには、浴室をリノベーションしたオフィスが。オフィスも見学可能だそう。

 

脱衣所の格天井

中村:建物の新たな用途については、快哉湯に思い入れのある人たちからも意見を聞きたいと思い、工事の前に内覧会を実施。すると200人以上も集まり、たくさんのアイデアが出ましたが、最終的には当社がオフィスとして使わせてもらうことにしました。私としてはスクラップ&ビルドよりも、こういう建物こそ残して使っていくべき、ということを発信したいと思っていたので。そこで、浴室側をヤマムラ建物再生室のオフィスに、脱衣所をカフェにして街に開くことにしました。かつて銭湯に通っていた人も、ふらっと入れるようにしたかったのです。

田中:たしかに、会社だけだと勝手に入っちゃいけない感じがしますよね。

 

存在感のある焙煎機

番台の横に設置された存在感のある焙煎機の説明を聞く田中さん。「廃業した喫茶店から譲り受けた焙煎機で、30年ものなんです」と、カフェ「レボン快哉湯」マネージャーの多田真理さん。

中村:カフェを運営しているのは別の会社ですが、ひとつの空間をシェアしているので、カフェのお客さんがオフィスに入ってくることもありますが、歓迎しています。とくに外国の方がオフィスを見たがりますね。カフェからガラス越しに富士山のペンキ絵が見えますから。

田中:たしかに興味深いだろうな。そういえば、さっきも外国の方が4人くらいで外観の写真を撮ってました。

 

脱衣所の間仕切り

脱衣所の間仕切りも、通路の上に設置された盗難防止の注意書きも、当時のまま。内容もさることながら、縦書きなのも味わい深い。

中村:内装については、既存の建物に新しい設備を入れたというより、カフェのキッチンもそうですが、木の家具を置いただけ、という感じにしたかったんです。

田中:新しいものと古いものの融合って、バランスが難しいじゃないですか。そのへんはどう意識しましたか?

中村:リノベーションでは、どこを残してどこを改修するかが重要ですが、この建物については、残したいものだらけ。新しいものはできるだけ存在感を抑えて、なじませるように心がけました。

田中:なるほど~、なじませるんですね。カフェの四角い照明も、たしかに格天井になじんでいますね。

中村:この建物は天井が高いので、照明がすごく難しかったです。カフェの照明器具は、LGSという安価で加工がしやすい軽量鉄骨を使用し、格天井に合わせてスクエアにつくってつっています。

田中:番台とか、脱衣所の扉の上の注意書きなんかも、昔ながらの銭湯ならでは。すごくおもしろいと思いました。

中村:カフェもオフィスもイベントスペースとして利用可能で、ワークショップやセミナー、マルシェ、撮影、コンサートなどに使われ、多くの人にこの空間を楽しんでもらっています。

 

移動式階段を使って番台に上るアンガールズ田中さん

専用の移動式階段を使って番台へ。カフェのお客さんも、希望すれば番台に座ることができるそう。

 

番台に座るアンガールズ田中さん

「番台に座ったのは初めての体験。こうなってたのか~。畳が敷いてあって、おもしろいです。けっこう高くて、女湯も男湯も両方見渡せます。あ、ちゃんとお金払ってね」と、なんだか楽しそうな田中さん。階段の隣に置かれた体重計もレトロ感たっぷり!

 

自家焙煎のコーヒーと自家製アイスクリーム

「レボン快哉湯」でぜひ味わいたいのが、自家焙煎のコーヒーと自家製アイスクリームのマリアージュ。アイスクリームは4種類で、それに合うコーヒーがセットで提供されます。コーヒーが残り3分の1くらいになったら、アイスクリームにかけていただくのがおすすめの味わい方だそう。