●ショーに向き合って、とにかく練習の日々

――ジャニーさんからは、「女の子にキャーキャー言われてどうするの?」と言われたこともあったとか?

錦織一清さん
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錦織:まあ、興味がある時期だよね。たとえば、合宿所は原宿だったから、美容院行きたいとか、洋服ちょっと見に行きたいとかさ。それでちょっと見に行ってくるって言うと、「いいね、暇で」とか言うんだよね。「そんなことするなら、踊りの練習、時間があるんだったら練習とかないの?」、そう、なんか「ふーん、かっこつけるんだ」みたいな。

でもさ、ジャニーズってかっこつけなきゃいけないと思わないですか? 逆に言ったら最初にかっこつけることが仕事じゃない? と思ってたんです。でも、そうじゃなくって、やっぱり「ショーに向き合いなさい」なの。ジャニーさんは、ショーに向き合ってるだけの人。シンプルだから。とにかく練習で、舞台の板の上で魅せてなんぼの世界で、普段かっこよくてどうすんの? って話。

そこで沢田研二さんの話っていうのがあってね。あるとき、スタジオで牛乳瓶みたいな眼鏡してるジュリーさん(沢田さんの愛称)が、コントやってるのをジャニーさんがみて、「ジュリーはね、ああいう思いっきりバカみたいなコントができるってのは、自信があるからなんだ。彼は歌うときにはピシっとやってる。だから、すごいんだ」って言ってたのよ。

それで沢田研二さんがテレビ局から出るとこ見たら、普通のジーパンとシャツで、それで車乗って帰ってって…かっこよかったんだよ! 普段はそういうものだ、オーラなんかいらないっていう。ただ、パラシュート背負って歌い出したらすごいっていうね。

――ジャニーズ事務所の教えですね。

錦織:決して、お客さんがキャーキャー言うことが迷惑だとかじゃないよ。「キャーキャー言われたいの? 言われたいだけなの?」ってこと。僕もよく使う言葉なんだけど、「若いときは悪いことを覚えるのも早い」みたいのがある。おそらくはそういう多感な10代とかね、生意気なときに、それをピシャッと言って、僕らが思い上がらないようにってことだったと思うよ。

でも、ジャニーさんは浮ついてない。そういう浮つきみたいなのは、ジャニーさんはもう本当に大嫌い。っていうのだけはね、ESSEを読んでいる方たちにもわかっていただきたいな。僕の中ではジャニーさんって、やっぱり硬派な人間。そう考えたら、じつはねー、世間のイメージと、ちょっと違うかもしれないね。