●死の瞬間も、とても厳かなものに立ち会えた気がした
すべての画像を見る(全6枚)――本著の中ではこうした猫沢さんの優しい死生観が紡がれる一方、イオの生き様に対して詳細な記録も。書いていてつらくはなかったのでしょうか。
猫沢:一部はSNSに発表していたのですが、書くことで心の整理をしていた気がします。とくに感情は、その時に出たものをすぐに書き出さないと、またどこかへ消えていってしまうものなので。それにつらさ、悲しみなどを変に押し殺したり、我慢していると、私の場合は、あとから余計に苦しくなってしまいそうで。
書いているあいだは自分の感情に向き合うので精一杯。人にどう読んでもらおうとか、どう見せようみたいな気持ちもまったくありませんでした。イオの死の瞬間も、とても厳かなものに立ち会えた気がしましたし、なによりも、彼女自身が、悲しさやつらさなどといった感情を超えていくような、大きな存在だったので。
●生きるとは愛すること
――『イオビエ』で、人間と猫という種を超えた、深い愛情を見せてくれている猫沢さん。今はイオ、姉猫のピキの魂、そしてパートナーや2匹の猫と共に、また新たな家族として暮らしています。そんな猫沢さんにとって「生きる」とは?
猫沢:根源的なテーマですね。照れずに言うと“愛”です。人生に対して愛があるのかどうか。私は、関わった相手に愛を持つように心がけていて、それは人間同士だけではなく、猫も含めた動物との関係でも同じこと。愛は信頼という言葉に置き換えてもいいかもしれませんね。
私は今、50代で、ライフシフトの真っただ中にいますが、お金や社会的な名誉といったものには、本当に興味がないんです。今までも、今も、そしてこの先も、いかに関わる相手と愛を交わし合える関係をつくれるか。それが生きることだと思っています。