フレンチのシェフから家政婦に転身し、その気軽でおいしいレシピが大人気のタサン志麻さん。

自身のパーソナルマガジン『à table SHIMA vol.03 冬号』に加えて、新刊『志麻さんのベストおかず 料理のきほん編』も大好評発売中。そんな志麻さんのインタビュー第2弾! 今回は、子育てや夫との関係で大切にしていることについてお話を伺いました。

インタビュー第1弾はこちら

タサン志麻さんが大切にしていること。「料理が苦手ならやらなくていい」と話す理由

タサン志麻さんインタビュー。子育てや夫との関係で大切にしていること

志麻さん1
タサン志麻さん
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――パーソナルマガジン『à table SHIMA vol.03 冬号』では、レシピのみならず、志麻さんの食への思い入れや料理のエピソード、そして家族との向き合い方も伺い知れる内容になっています。志麻さんのお宅では、どんな風に家族5人の食事時間を楽しんでいるのでしょうか。

「パーソナルマガジンで紹介しているレシピを中心に、わが家では和・洋・中となんでもつくっています。そして食卓には大きな料理を、そのまま大皿や鍋でどーんと出していますね。盛りつけの時間が省けるだけ、家族全員で食卓を囲む時間が長くなると思うんです」

ラザニア
『志麻さんのベストおかず 料理のきほん編』より

――3人の小さいお子さんたちには、食事の際にどのような声をかけていますか?

「『自分の食べられる量だけとって食べなさい』と言っています。もちろん彼らにも好き嫌いはあるので、『あー、これが入っている!!』なんて言われる日もありますよ(笑)。ですが、最低でも一口は食べるのが、わが家の食卓のルール。食べてみると、嫌いだと思い込んでいた食材が、レシピ次第ではおいしく感じられることもあるようで、いつの間にか、苦手だった食材が好きになっていったりもして。

こうして鍋や大皿から、子どもたちが各自で料理を取り分けて食べるスタイルは、大人が量を決めて盛りつけるよりも、『今日はどんな料理なの?』『何をどれだけ食べようかな?』と、ワクワクした気持ちになれるし、料理に興味が湧くようです。彼ら自身の自主性が芽生え、なによりも、その瞬間に食べるものに家族全員が集中するので、話題も盛り上がります」

●子育てで大事にしているのは「自主性を育む」こと

笑顔

――食卓を囲む時間を含めて、志麻さんが子育てをする上で大切にしているのは、子どもたちの自主性を育むことなのだとか。

「3人いれば、それぞれの性格や主張があります。まずは彼らの意見に耳を傾けるのを大事にしていますね。たとえば『ブロッコリーを食べたくない!』という子がいたら、頭ごなしに食べなさい、とは言わないようにしているんです。

まずは『どうしたの?』と。そのときに食べたくない気持ちを聞き、『明日は食べられる』という意見に賛同できるならば尊重します。とは言え、綺麗ごとではすまされないのが育児の現場。日々の生活のなかでは、取っ組み合いの兄弟ゲンカだってしょっちゅう起こっていますよ。むしろ、多いほうかもしれません(苦笑)」

志麻さんと息子さん
『à table SHIMA vol.03 冬号』より

――そんなとき、タサン家ではフランス流のこんな躾をするのだそう。

「オコワン(角)というフランス語があるのですが、それはわが家では、子どもたちがケンカをしすぎた証拠。部屋の角っこに立って反省しなさい! という親からの注意と反省のサインです。たとえば男の子たち同士で取っ組み合いのケンカが始まったとしたら、最初にしかけた子どもに『オコワン!』というと、その子は部屋の壁に向かって立ち、しばらくじっとしています。でも最近ではこのルールに慣れてしまって、オコワンをしている間に、壁に向かって話しかけ出す子もいるんですけれどもね(笑)。

そうして親の目から見て、子どもが少し冷静になったなと思ったら、『さっきはどうしてケンカになったの?』『あなたはどうして、彼に取っ組み合いのケンカをしかけたの?』と、意見を聞いています。そのうえで納得できる部分は『なるほど、そうだったのね~』と。ケンカではどちらかが一方的に悪いことはないと思うので。でも、暴力は絶対にダメなことよと、叱る部分はきちっと伝える。

それからうちでは、お兄ちゃんだから、弟だから、という属性での褒め方や怒り方もしていません。何年か早く生まれたから偉いとか、最後に生まれた末っ子だからわがまま放題でいい、みたいなことはないと思うので。どんな場面でも、子どもたちと話すときは、一人の人間対人間として対話をするように意識しています」