作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセイ。年内最後の今回は、「遅刻をしてしまうこと」についてつづってもらいました。

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第87回「遅刻する人はダメな人?」

暮らしっく
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社会人になって、一番に気をつけなくてはいけないなと思ったのは約束の時間を守るということだった。でも私はギリギリセーフか、ときには遅刻してしまうこともある。「駅に18時集合ね」と言われたら、5回に1回は、18時05分か18時10分になる。良くない。甘えだと言われても仕方ないだろう。

小学生の頃から、ラジオ体操の音楽が聞こえはじめたら集会所に走り出す人だった。電車通学だった高校時代は目の前で電車のドアが閉まって、再び開けてくれたこともあった。

とはいえ、学校に遅刻したことは一度もなかった。いつも滑り込みセーフのギリギリガールだった。

「社会に出たら時間を守れないことが一番信頼を失うよ」

と家族に言われた。時間にルーズだと仕事ができても目減りするということだった。大学生になり自由に拍車がかかって、授業を遅刻することもあれば休むこともあった。

バンドで上京しても、やっぱりときどき2分とか3分とか遅刻した。

「遅刻を罰金制にします」とマネージャーが言って、1分遅刻したら1000円払うことになった。私をこらしめるためのルールだった。

「久美子はいつも2~3分だけ遅刻する。どうしてあと5分家を早く出られないの?」

と言われながら、私の罰金は貯まり続け、3年後そのお金でマネージャーとメンバーとでディズニーランドに行った。楽しかったし、有意義な使い方だったけど、あまり良い方法ではないように思った。

●もし相手に遅刻されてしまった場合

時計
※画像はイメージです

待っている人の気持ちを考えないわけではない。

朝、早起きして弁当を作って代々木公園に集合したが、待てど暮らせど友達が来ない日があった。電話をしたら、今起きたと言った。腹が立ったし、そんなら私も早起きなんてせずに寝たら良かったわと思った。でも、その子が事故にあったとかでなくほっとして「先に弁当を食べてるから、焦らず来てな」と言った。本人の気持ちを思うと、とても気の毒だった。
平気で遅刻する人はいないと思う。昨夜、どうしても漫画を読んでしまったとか、長電話をしたとか、風邪気味だったとか、何かしら理由はあるのだ。私が遅刻するのも似たようなことで、寝ないといけないのに、夢中になって本を読み耽ってしまったり、映画を見はじめてしまったり、朝考え事をしながらお風呂に長湯してしまったり。

試験とか、人の結婚式に遅刻するとかは一度もないから、やっぱり緊張感の欠如だろうか。

沖縄や奄美大島でのライブは6時開始でも大体7時になるよと昔聞いたことがあったけど、確かに沖縄でライブをしたとき少し押していた気がする。四国もわりとゆるやかなような気はするから、土地柄もあるのかな(そういうことにしたい…)。いやいや、しかし松山空港は世界一離陸が遅れない空港だとニュースで読んだなあ…。