たくさんの便利なものに囲まれた、現代の暮らし。ものの管理に追われたり、なんだか窮屈さを感じたり…疲れてしまうことはありませんか。そんな人にこそおすすめなのが、必要なものだけを厳選したり、家事に対する価値観を変えたりと、無理なくできる“小さな暮らし”。ここでは、現在50代で編集者・ライターの一田憲子さんに、自分らしい小さな暮らし方を見つけるためのヒントを教えてもらいました。

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一田憲子さんの「自分らしいたし算引き算」とは

一田憲子さんに教わる「小さな暮らし」のヒント

「減らすだけがいいことじゃない。ワクワクするなら、ものが増えたってOK」と話す一田さん。詳しく語っていただきました。

●大事なのは、自分らしくたし算引き算すること

10年ほど前、食器棚の器をごっそり減らしました。当時から私は器が大好きで、気になる作家さんの個展に行っては新たな器を買い、それにいつものおかずを盛ってみて、「ご馳走に見えるわあ~」とにんまりすることがなにより楽しかったのです。当然、器は増え続け、次第に出し入れに一苦労…。

そこで一念発起。わが家でパーティを開いたり、友達を呼ぶたびに「ご自由にお持ち帰りください箱」を用意し、出番が少なくなってきた器を持って帰ってもらいました。こうして、食器棚がすかすかになるぐらいに減らしてみて、その使いやすさ、片づけやすさに驚きました。仕事柄、たくさん収納や片づけの記事を書いてきたけれど、ここにきてやっと「体」で、「ものを減らす」ということのラクチンさを理解したというわけです。

昨今「少ないもので暮らす」や「ひとまわり暮らしを小さくする」というテーマが人気です。でも「小さい」や「少ない」が、なんとなくいい感じだから…だけでは自分の暮らしに「減らす」というシステムを組み込むことができません。唯一の方法が、「すご~くスムーズ」「時間がかからない」と、実際に「得すること」を自分で実感すること。ほんの一部だけでも、ものを減らしてみていかにラクチンで快適で気持ちいいかを体に覚え込ませる…。その小さな成功体験が次のエンジンをかけてくれるように思います。