●「わが家だけの幸せ」を手にするコツ

じつは、あれからわが家の器は減っていません。実用だけを考えれば、飯碗、汁椀、そして皿や鉢が数枚あれば、食事はできます。でも…。私の場合、それだけでは楽しくないのです。ごろんとした大根の煮物は、この大ぶりの鉢にどか~んと盛りつけよう。サンマを焼いたら、この長皿に大根おろしを添えてのせよう。そして、どこかで新たな器に出合って家に持ち帰れば、わが家の肉ジャガがそれまでとはちょっと違って見える…。そんなワクワクを手放したくないなあと思っています。

いたって普通の毎日を、「ああ、楽しい!」と味わうためには、引き算で暮らしをシンプルにすることと、たし算で暮らしを豊かにすること、その両方が必要なんじゃないかと思っています。いくつ引き算して、いくつたし算するかのバランスはその人次第。たしたり、引いたり…。塩梅を見つけながら工夫することが、だれかの真似っこではない、「わが家だけの小さな幸せ」を手にするコツなんじゃなかろうかと思います。

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