就職に転職、借金、家族との関係や恋愛、健康や生活習慣…。あのとき自分の選択は正しかったのか、人間関係をやり直したい、どうしてあの人はあんなことを言ったのだろう、そんな悩みはつきません。
ここではお坊さんが答える相談サイト「hasunoha(ハスノハ)」にて、これまで2300件以上のお悩みに向かい合ってきた住職・吉武文法(よしたけふみのり)さんに、マイナスな感情との向き合い方について伺いました。

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法覚寺の住職・吉武文法さん
法覚寺の住職・吉武文法さん
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お坊さんが教える、ぬぐえない後悔や自責の念への考え方3つ

北海道せたな町にある法覚寺の住職である吉武文法さん。「hasunoha」でのお悩みに対してつづられる仏教の視点を取り入れた回答は、私たちの心をふわっと軽くし、ときに戒めてくれます。今回は吉武さんに、女性が抱えがちな後悔や自責への対処法を教えていただきました。

 

●1:過去の自分と今の自分がもつ「情報量」は違う

吉武さん

うまくいかないとモヤモヤしたり、なかには後悔として何年も長く引きずることもありますよね。
吉武さんは「まずは後悔するくらいがんばったことを認めてあげてください」と柔らかく微笑みます。

「今の自分が『あのときああしておけばよかったのに、なぜできなかったのだろう』と、過去の自分を認められない気持ちが“後悔”だと思います。しかし、過去の自分はそのようにしかできない“縁(条件・環境)”の中にいたのです。そしてその縁の中でそのときのベストを尽くしていたことを忘れてはいけません」と吉武さん。

今の自分と過去の自分では、「持っている情報量が違う」と吉武さん。
今の自分は、過去の自分が知らなかった事情や結果を知っています。「なんでああできなかったのだ」と過去の自分を裁いてしまうのはアンフェア。

「過去の自分はそのときのベストを尽くした」とまずは認めてあげることが、安らかな気持ちにつながるのかもしれません。

 

●2:冷静になれなかったのはそれだけ一生懸命だった証拠

お寺

「“あのときもっと冷静になればよかった”という悩みもよく寄せられます。まずは冷静になれないくらい大変な状況の中で一生懸命がんばった自分を、認めてあげてください。それだけでも後悔への考え方が少し変化するのではないでしょうか」と吉武さん。

しかしそうできないくらい、深い後悔をもつのも人間の現実です。
「仏教は対機説法と言って、その人の能力や状況に応じた救いの形・方法を説きます。だから後悔する人にだって道はあるはずです」と吉武さんは語ります。

「仏教では、後悔とは過去への執着です。今ここにはないものにとらわれてしまっている。だからお釈迦様は『今を生きなさい』と戒めているのです」

「後悔は過去への執着」と思い、がんばった自分をほめてあげましょう。