●シアトルのコロナの向き合い方
日本は第7波の真っただ中で、感染者の全数把握の必要性について議論されています。このオミクロン変異株BA.5期においては、陽性と判明しても、重症化リスクのある一部の人以外、大方無症状か風邪のような症状どまり。
市販の解熱剤や咳止めなどを服用することはあっても医療機関にはかからず、アメリカでは申告義務もないので、日本のように感染者を全数把握するのはそもそも現実的ではありません。
すべての画像を見る(全8枚)シアトルに住む場合、検査キットがアメリカ政府とワシントン州から無料で定期的に提供され、家庭で検査が無料でできます。「もしかしてコロナ?」と思っても、わざわざ医療機関や検査場を訪れることなく陽性かどうかを確かめることができ、実際に多くの人がそうしています。
その場合、自己申告がなければ、その人が陽性なのかどうか、ほかの人は知りようがありません。濃厚接触者についてもしかり。おそらくウイルスは街中の至るところに存在し、マスク着用機会の減る中、多くの人がばらまき、多くの人が感染していることでしょう。
でも、高齢者やリスクの高い人を除けば、大半のアメリカ人は感染対策をそこまで気にしていないように見えます。ワクチンは接種しているし、重症化しても今は薬がある、という安心感でしょうか。
実際、シアトルのあるワシントン州ではコロナ患者のリモート診療が保険の有無にかかわらず無料化され、経口治療薬の適用範囲も広がり、処方が受けやすくなっています。もっともこれは、開発国ならではの強みかもしれません。
日本は圧倒的に高いマスク着用への意識にかかわらず、今や新規感染者数世界最多国です。このオミクロン期にマスクなしの自由な暮らしで感染し放題、結果としてオミクロン変異株に対抗する抗体を多くの人が手に入れたらしいアメリカ。マスクありきの不自由さを我慢し続けても、ワクチン接種の抗体をすり抜けるオミクロン変異株の感染力の強さには結局勝てなかった日本。国外より国内のほうが感染率は高いかもしれない状態で、日本の水際対策がどうなっていくのかも気になります。
と思っていたら、日本入国前の陰性検査義務や感染者の全数把握について一部見直されるとか。ようやく、ですね!
●3年ぶりの日本で感じたこと
3年ぶりの帰省で、あと何回会えるかわからない年老いた両親に、成長した孫の顔をようやく見せることができた今年の夏。
改めて感激したのは日本のおもてなしと豊かな食の文化です。日本特有の行動制限がある中、標的にされた形となってしまった観光業、飲食業の方々はよくここまで持ちこたえてきたなと頭が下がる思いがします。
サル痘、ポリオと新たなウイルスの脅威が心配されますが、外国の方がもっと自由に日本を旅する時代がまた訪れることを切に願います。