Case5. 少し奥まった、隠れ家的リビング学習
すべての画像を見る(全29枚)最後はリノベーションの事例を紹介してみます。大阪の密集した住宅街に建つこの住宅は、西側通路も狭く、東、南側とも隣地が迫り、採光不足でした。
そこで、屋根の一部に2畳程の穴をあけ、光庭をとることにしました。
その光庭のすぐ横に、4畳ほどのスタディコーナーをプランしています。
扉は設けず、リビングとつながっていますが、小部屋感も残っています。隠れ家的リビング学習の間取りです。
この広くはない空間に、アップライトのピアノもあります。
リビング・ダイニングからは一切見えませんから、片づいているより少し散らかっている方が、勉強できるという人には最適な間取りです。
25畳あるLDKより、この空間に家族が集まるというのが、おもしろいところです。せっかくリビング学習の間取りを考えるなら、子どもがどんな空間なら集中できるかをよく見ておくことが、いちばん重要なことだと思います。
本人に快適な場所に!机に向かう習慣は自然につくれる
リビング学習の目的は、机に向かう習慣をつくることだと思いますが、その場所がいちばん快適であれば、自然とそうなっていくはずです。
読み書きするなら、ソファよりは快適なイスと机がある場所の方が快適です。さらに、そこにいながら家族の気配を感じたり、ちょっとわからないことを聞いたりできるのが、リビング学習のもっともよい点だと思います。子どもは頑張っているところを見てほしいものです。
じつは、目線を上げれば庭木が見えたり、空が見えたりできれば、煮詰まってもリフレッシュできるという設計上の配慮も重要です。
「頭のよくなる家を設計して欲しい」という相談をもらったことがあります。家を形にすることで、こちらとしては答えを出したつもりです。とはいえ、それが、確実に正解かといわれると、当然保証はできません。しかしうれしいことに、ここに紹介した家に住んだ子どもたちは、希望よりワンランク上の学校に合格した、国立最難関大学を突破したという結果を出しました。
最大の要因をひとつ上げるとするなら、親が子どものことをよく見ており、よく理解していたことだった気がします。そこがわかっていれば、あとはそれを専門家と実現していくだけなのです。