寒さが厳しい季節。朝、ベッドから抜け出るのがつらい…。それはズバリ、断熱が不十分な家に住んでいる可能性が高いということ。断熱材を使って「温熱環境」を整えれば、一年を通じて家を快適と感じられる温度、湿度に保つことができます。これから家を新しく建てる、あるいはリフォームの際に、工務店やハウスメーカー任せにして後悔しないよう、知っておきたい断熱材の種類とそのメリットを解説。一級建築士の飯沼竹一さんが教えます。

グラスウール断熱工事をしているところ
断熱をしっかりすれば、エネルギーロスが減って、快適な居住空間が生まれる
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断熱性能の高い家は、快適なうえに財布にやさしい

断熱材に包まれ冬も温かい家

人が快適に過ごせる温熱環境は、夏はだいたい温度25~28℃/湿度50~60%、冬は温度18~22℃/湿度55~65%くらい(感覚の個人差はあり)。そして部屋間の温度の差が少ない(温度のバリアフリー)と、その快適さはさらに増します。その温熱環境をつくり出す、大きな要素が断熱です。

断熱性能がよければ、エアコンを使う機会が減ることに。エネルギーロスが少なくてすみます。つまり断熱性能の高い住宅は、快適な暮らしができて、かつ経済的なのです。

 

北海道の家なのに断熱材のおかけで光熱費が安い家

上の写真は、寒さの厳しい北海道でも十分対応できる、断熱性能がとても高い家です。断熱性能を高めたので、エアコン、照明、そのほかの家電も含めて、年間の電気料金は10万円程で収まっています。

ちなみに日本では、2050年までにCO2(二酸化炭素)の搬出を実質ゼロにする目標を掲げました。国内のCO2排出量のうち、住宅(家庭部門)からの排出量は全体の16%あまりになります。戸建住宅でのその内訳は照明、家電製品などが45%、給湯24%、暖房25%です。戸建て住宅もますます、省エネが強く求められる時代に移行しています。

 

住宅に使うおもな断熱材は、繊維系とプラスティック系の2種類

冷蔵庫は断熱材にすっぽりおおわれているので、庫内を少ない電気エネルギーで冷やすことができます。

自動車はエンジンがかかっていれば暖房、冷房ができ快適な室内になりますが、断熱材がほとんどないので、エンジンを切るとあっという間に熱が逃げ、外気温に近くなります。

住宅でも快適に過ごすためには、断熱材がポイントになります。そこで、まず断熱材にはどんな種類があるかを解説します。

住宅で利用される断熱材は、素材により大きく2種類分けられます。主要な材料とその製品は以下の通りです。

A.繊維系断熱材

  • ●グラスウール:

  • マットエース(旭ファイバー)、ポリカット(マグ・イゾベール)など

    ●ロックウール:

  • アムマット(JFEロックファイバー)など

    ●セルローズファイバー:

  • ダンパック(王子製袋)、デコスファイバー(デコス)など

    ●インシュレーションファイバー:

  • ウッドファイバー(ウッドファイバー)

B.プラスティック系断熱材

  • ●吹きつけ硬質ウレタンフォーム:

  • アクアフォーム(日本アクア)、LDフォーム(アイシネン)

    ●ビーズ法ポリスチレンフォーム:

  • セルボード(岩倉化学)

    ●押出発泡ポリスチレンフォーム:

  • スタイロフォーム(デュポン・スタイロ)

    ●硬質ウレタンフォ―ム:

  • アキレスJDパネル(アキレス)

    ●フェノ―ルフォーム:

  • ネオマフォーム(旭化成建材)

このうち、繊維系断熱材はおもに柱、梁の隙間に断熱材を充填(じゅうてん)する工法に利用します。

プラスティック系は主構造体の外側に貼ることが多く、外貼り断熱工法といいます(吹きつけ硬質ウレタン工法だけは充填工法に向く材料)。

これらを組み合わせた付加断熱あるいはダブル断熱という高断熱工法もあります。