耐水性、耐久性に優れる、発泡スチロールの断熱材
すべての画像を見る(全13枚)ビーズ法ポリスチレンフォームという製法でつくられる素材で、EPSボードとも呼ばれています。軽くて加工しやすい、断熱性が高く耐水性、耐久性に優れている素材です。
魚介類などを運ぶ際に利用する箱や梱包材、緩衝材(クッション材)などにも利用されています。住宅用に利用されるEPSボードは、自己消火性のもので、燃え広がりにくいものです。
断熱材として使うには、一般的に外貼り断熱という工法により、このボードを外壁や屋根に貼ります。汎用性のある建材で軽くて施工しやすいこと、熱伝導率が低いので材料自体の厚さ薄くできることが利点です。
デメリットは、繊維系の断熱材に比べれば不燃性に劣ること。防火性能が要求される地域で、外壁の仕上げ材が規制されることがあるので、注意が必要です。またシロアリの被害を受けやすいので、対策が必要になります。
それ以外にも、EPSボードを貼るだけでは気密性がとれない、材料自体のコストが高いといったデメリットがあります。
薄くても性能が高く耐久性もあるXPSボード
押出発泡ポリエチレンフォーム板(XPSボード)は、先のEPSボードと原材料は同じながら製造法が違うことで区別しています。
原料となるポリスチレン樹脂を先に発泡させ、熱や圧力を使って形をつくるのが「EPS」、ポリスチレン樹脂や発泡剤などの原料をすべて混ぜ合わせ型に押出し、形をつくるのが「XPS」です。
XPSボードはEPSボードよりも硬く、水中に漬けても、「膨張、軟化、変形、変質」することがないのが特徴です。EPSボード同様にノンフロン、グリーン購入法適合、シックハウス対策を実現した材料。各メーカーが回収、リサイクルをしさらに再生利用を推進しています。
デメリットは材料が高価であること。EPSボード同様に熱に弱いことです。
筆者の設計事務所では、熱伝導率が低い材料でほかの材料より薄くできるので、屋根断熱や基礎や床など部分的な利用をすることが多々あります。
●まとめ
それぞれの断熱材には、熱伝導率に違いがあり、その厚さによって求められる断熱性能が決まります。ですからこの断熱材料だから、ほかの素材よりも断熱性能が高いとは言えません。各断熱材のメリット、デメリットを知って選択するといいでしょう。
また断熱材は、構造材と一緒であとから交換することはできません。工務店やハウスメーカーに納得いく説明を求めて、快適な温熱環境を手に入れてください。