●適応障害になった夫に対する妻の反応

夫婦
夫が「適応障害」に。妻の反応は…(※写真はイメージです)
すべての画像を見る(全4枚)

夫が「適応障害」という診断を受けて休職することになったと聞いたとき、由紀さん自身は「まあ、仕方がない」と感じたそうです。

「病気になるまでストレスを抱えていたと気づかなかったので、申し訳ない気持ちもありました。メンタルの病気は本人にしかわからない面もあるのかなとも思うので、本人が病気を意識しすぎないよう、できるだけいつも通りに接するように。休職に対しては、休めて元気になればいいか! とあまり深刻に考えないようにしていました」(由紀さん)

そして、そういった普段通りの由紀さんの態度が、昌也さんにはありがたかったといいます。

「“大丈夫?”や“元気出して!”など、すごく心配されると、逆にプレッシャーになっていたんじゃないかと思います。人によって違うとは思いますが、私自身はやさしさの塊をぶつけられるのがつらいタイプ。私の病気に興味がないんじゃないか、くらいの妻の反応にかえって助けられました」(昌也さん)

●自分を追い詰める考え方のクセを見直した

外を眺める男性
休職中に、自分の考え方のクセを見直すことで気持ちがラクに(※写真はイメージです)

11月下旬に休職してからは、何も考えない時間を過ごしたり、自宅の周辺を散歩したりなど、とにかくのんびり過ごしたという昌也さん。また、妻のアドバイスで実家に戻り、学生時代を過ごした地域に足を延ばしたのも、過去の自分を取り戻すいいきっかけになったそうです。

休職中に認知療法を学んだおかげで、自分の考え方のクセを知ることができたのも大きな変化でした。

「『はじめての認知療法』(大野裕、講談社現代新書)という本を産業医にすすめられ、自分を追い詰める考え方のクセに気づきました。そういったネガティブな考えに陥らないように心がけることで、随分気持ちがラクになりました。

以前はマネジメントをする立場なんだから、全部自分でやらなければ、と思っていましたが、復職してからは、以前よりも人に任せることができるようになりました」(昌也さん)

●大きなストレスから身を守るために大切なこと

約2か月間の休職後、充分に回復を実感し、会社や医療機関と相談したうえで、翌年2月上旬に復職した昌也さん。

今は、以前よりもストレスを感じずに仕事ができているといいます。普段からたくさん運動をするようになったことで、仕事を忘れる瞬間をつくれるようになり、それも安心感を持てる一因になっているそうです。

「復職してからも閑職に回されるようなことはなく、新しい仕事にも挑戦させてもらっています。マネジメントの範囲も広がり、一瞬不安が過ぎりましたが、今は以前よりも気持ちに余裕が生まれ、追い込まれることはなくなりました」(昌也さん)

だれしもがなる可能性のある、適応障害。大きなストレスから身を守るためには、昌也さんのように自分の考え方のクセを見直してみるのも大切なのかもしれません。

※心身の異常が強く生活に支障がある場合は、自己判断はせず適切な医療機関を受診するようにしてください。
 

<悩みを抱えたときの相談先>

・こころの耳 相談案内
※働く人の「こころの耳相談」電話相談、SNS相談、メール相談の方法は窓口はこちらから