日本では5組に1組が不妊に悩み、50万人近くが不妊治療を受けていると言われています。
イラストレーターのオヨネさんもかつて、その1人でした。
今回は、なかなか妊娠できず、先に妊娠した友達をお祝いできなかった気持ちについてのお話です。
友達のおめでたを素直に祝えないなんて。黒い感情でいっぱいに
妊活に必要なことを調べて片っ端から実行するも、なんの手応えもなく過ぎていく数か月。
私はというと…病んでいました。
夫婦生活が少ないのもありますが、生活の改善や食べ物、習慣の改善を行うも全然妊娠するそぶりもないことに、少しずつ精神的な疲労や焦りが蓄積していったのです。
●友達の妊娠報告に、返事を送ることができず…。
そんなある日、仲のいい友達とのグループLINEに1通のメッセージが。
同い年の既婚友達が妊娠したのです。
とてもおめでたく、うれしいことです。
普段の私なら「わ~! おめでとう! やったね! ヒャッホー!」と秒速で返信して歓喜で踊り狂うようなスタンプを連打したと思います。
しかし当時の自分には彼女を祝うことができませんでした。
仲が悪いとか、特別苦手、とかではありません。仲のいい友人です。
しかし自分が授かれないので「いいな、うらやましいな」という気持ちが勝ってしまいました。
既読をつけたにも関わらずお祝いの言葉を送ることができず、そっと画面を閉じてしまったのです(彼女とは今も仲よしです)。
●電車でもショッピングモールでも、目につくのは妊婦さん、妊婦さん。
私の脳内は「子どもが欲しい」「でもできない」「なんで私だけ」でいっぱい。
今まであまり気にしていなかったのですが、通勤電車でも目に入るのは妊婦さん、妊婦さん、妊婦さん。気にしすぎて病んでいるので、そのように目に映るのです。
ショッピングモールに行っても妊婦さんオブ妊婦さん! キングオブ妊婦さん! (勢いで言いましたすいません)。
見ないようにしていてもどうしても目に入ってしまう程自分は病んでいました。
表には出さないものの、前を歩いている女性の大きなお腹をチラッと見ては「あの人も妊娠してる。いいな」
すれ違った方のカバンにぶら下がっているマタニティマークを見ては「あぁ、この人も妊娠している。いいな」と卑屈な気持ちに侵されていました。
妊娠されているご本人は大変だと思います。
その後、自分も妊娠できてからマタニティマークをつけてつわりと戦いながら通勤していたとき、おなかが大きくても出かけなければならないときなど、ヒィヒィ言いながらなんとか歩いていたのを覚えています。
しかし当時の自分にはそれを思いやる気持ちよりも
「なぜこんなに世の中に妊婦さんがあふれているのに私は妊娠しないんだ?」
という気持ちに支配されていました。
●なぜ自分は妊娠できないの?胸の中が黒い感情でいっぱいに
人のおめでたを素直に祝えないなんて。
無駄とわかっているのに人とどうしても比べてしまう。
そうやって自分がどんどんいやな人間になっていっている。
このままではだめだとわかってはいるのに、胸の中はいつも黒い感情でいっぱいでした。
そしてこれは妊娠が発覚する数年後までずっと続くことになりました。