第2シーズンも絶好調、全国に感動を届けている『監察医 朝顔』で、主人公の法医学者・万木朝顔(上野樹里)の父親で、刑事の万木平を演じている時任三郎さん。本作は、万木父娘が、かたや解剖、かたや捜査で、さまざまな事件や遺体の謎を解き明かし、“生きた証し”を見つけ出して遺された人たちの心を救うヒューマンストーリーです。
そんな時任さんに、役に感じる思いや、撮影現場のやりとりを伺いました。
『監察医 朝顔』に出演中。時任三郎さんインタビュー
万木家の温かな日常も丁寧に描く本作。孫のつぐみ(加藤柚凪)に限りない愛情を注ぐ“じぃじ”でもある平は、朝顔やつぐみを変わらない愛情で見守る、ドラマの要となる存在です。
「樹里ちゃんは、料理の手際がいいですね。つぐみの相手をしながら家事をこなす演技は見事。つぐみは、よく手紙をくれるのですが、字がだんだんうまくなっていくのが楽しみです。義理の息子・桑原真也役の風間俊介くんは、本番前に必ずつぐみに“シーンの流れと要点”をわかりやすく説明して、つぐみに対する“仕切り”も天下一品。ただ、つぐみがどういう行動に出るかわからないので、こちらの対応力が試されます。樹里ちゃんと風間くんの対応はすばらしく、本番でなにが起きても大丈夫という安心感があります(笑)」
●亡き妻の痕跡を何年も探し続けることは、自分にはできないかもしれない
平の愛情は、東日本大震災で被災し行方不明になっている妻にも変わらず向けられています。今年3月で、東日本大震災が発生して10年。時任さん自身も当時、被災地にボランティアとして赴いた経験があるだけに、特別な思いがあるようです。
「ボランティアといっても、ほんのちょっとお手伝いをしただけですが、それでも現地の人と接して、より身近に震災のことを感じることができました。“万木平”という人物を演じるうえでも貴重な体験だったと思います。平のように津波で失った妻の痕跡を何年も探し続けることは、自分にはできないかもしれません。平は、探し続けることで心の平安を得ているのでしょうね」
平にとっては愛する妻、朝顔にとっては大切な母…。前作では、最愛の人を亡くした悲しみは癒えずとも、家族とともに少しずつその喪失感を乗り越えていく姿が描かれました。今作では、根底に流れているテーマが少しずつ変化しているように見えます。
「“ささやかな幸せを感じつつも、いつまでもそれが続くわけではない現実もある”ということになるのでしょうか。ネタバレしない範囲で言えば(笑)」
●自分を見つめ直すとマイナス思考になるようです(笑)
今作は、年末年始をまたぎ、月9初の2クール(6か月)連続放送としても話題です。
「昨年はコロナ禍もあったので、自分を見つめ直す年になりました。どうやら、自分を見つめ直すとマイナス思考になるようです(笑)。今年は、いかに笑顔で過ごせるかをテーマにしたいと思います」
このやわらかな笑顔こそ、温かいドラマのかくし味なのでしょう。
『監察医 朝顔』(第2シーズン)
毎週月曜 夜9時
フジテレビ系 全国ネット放送中
【時任三郎さん】
1958年、東京都生まれ。’83年のドラマ『ふぞろいの林檎たち』で注目を集め、以後、俳優、アーティスト、ナレーションなど幅広いジャンルで活躍。おもな出演作に、ドラマ『Dr.コトー診療所』『サマーレスキュー~天空の診療所~』『過保護のカホコ』『インハンド』、映画『海猿』シリーズ、『ハッピーフライト』『サバイバルファミリー』など