NHK連続テレビ小説「わろてんか」では、ヒロインの夫・藤吉役を務めるなど、話題作に多数出演している松坂桃李さん。デビュー作「侍戦隊シンケンジャー」では、全国のちびっこのみならず、お母さん方まで魅了するなど、好青年イメージの強い松坂さんですが、2月1日公開の映画『不能犯』では、初めての試みとなるダークヒーロー役を演じます。公開に先立って、作品への意気込みや、20代最後の年にプライベートで挑戦したいことなどを伺いました。

松坂桃李

30歳になる前に挑戦したいのは「ペン習字」

黒いスーツに赤く光る目、目に焼きついて離れない、不気味な笑い顔…。松坂さんが映画『不能犯』で演じるのは、依頼された相手をマインドコントロールによって、死に至らしめる謎の男・宇相吹正(うそぶき・ただし)。自身初のダークヒーローの役です。
「宇相吹は、人がつくり出した幻想のような存在かなと思って。人間味をなくすために、足音を立てずに歩いたり、まばたきの回数を減らしています。こだわったのは、〝ニタァ〞という笑顔。鏡を見ながら、口角の上がり方を研究しました。こんなに笑い方を意識した作品は初めてかも」

一見、非現実的なストーリーに思えますが、「だれもが自分におき換えて考えられるのがこの映画の魅力」と話します。
「宇相吹の依頼人が抱いている嫉妬や憎しみのような感情って、日常的に転がっていること。それがちょっとしたきっかけで、強い憎悪に変わってしまう。これって、だれにでも起こり得ることですよね。僕も観終わったあとは、『僕は大丈夫かな? 自分の欲や怠け心に負けてないかな?』とふり返りました」

以前は松坂さん自身も、「僕もあんな仕事したいなあ」と同世代の俳優に嫉妬のような感情を抱いたことがあったそう。
「でも、そういうネガティブな気持ちでいると疲れてしまうし、目の前のやるべきことが見えなくなってしまう。自分のペースで、今できることをひとつずつやっていこう、とここ数年できり替えられるようになりました」

今年は、30歳となる節目の年。仕事では、「現段階でできることはやりきった」そうですが、プライベートでしたいことは?
「字の練習です。先輩方のサインや手紙を見ていると、皆さんとても達筆で。手書きの機会が減っているからこそ、字がきれいな人はすてきだし、20代のうちにペン習字を始めたいです」

端正なルックスにどこまでもきまじめな受け答え。真摯に作品に取り組むことで見せる多彩な表情が、私たちを引きつけてやまない魅力なのでしょう。

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では、好青年からコミカルな役までさまざまな役を演じ分けるうえでの工夫や心がけについてもお話ししてくれています。松坂さんの仕事へのひたむきさが伝わるエピソードも要チェックです!

●『不能犯』

連続変死事件の現場で目撃される謎の男、宇相吹正(松坂桃李)。彼に狙われた者は病死や自殺など、罪に問われない方法で死に至る。相手の心を思うままに操る宇相吹の能力に警察が翻弄されるなか、女性刑事の多田(沢尻エリカ)にだけは彼のマインドコントロールが効かないことが判明し…。(2月1日公開)

【松坂桃李さん】

1988年生まれ、神奈川県出身。2009年に「侍戦隊シンケンジャー」でデビュー後、話題作に数多く出演。近作にNHK連続テレビ小説「わろてんか」など。映画『パディントン2』(声の出演)が1月19日公開予定。待機作に映画『娼年』、『孤狼の血』がある

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