人気ドラマシリーズ『科捜研の女』がついに映画として登場。ヒロインの法医学者・榊マリコを20年以上演じ続けている沢口靖子さんへのインタビューシリーズ。
前編では、映画化への思いや、役柄について感じていることを語っていただきました。後編は女優としてトップを走り続ける沢口さんの暮らしぶりや、ライフスタイルのこだわりについて教えていただきます。
すべての画像を見る(全3枚)『科捜研の女‐劇場版‐』沢口靖子さんインタビュー
――1984年のデビューから活躍を続け、最新主演作『科捜研の女‐劇場版‐』は、コロナ禍中の昨年秋に、京都で撮影が始まりました。座長として、いつも以上に緊張感のある日々を過ごしていたかと思いますが、撮影中にはどうやってリラックスをしていたのでしょう。
「コロナ禍での撮影はSeason20(2020年10月~12月放送)からだったので、引き続き気を引き締めてという感じでしたね。現場に入るときは検温・消毒を欠かさず、本番直前までフェイスシールドを外さない日々が続きました。
コロナの流行に関わらず、撮影中はいつも気がぬけないのですが、現場モードからプライベートへの切り替えは、お部屋に戻ってバスルームに入る瞬間かもしれません。長風呂派ではないものの、それでもお湯につかるとほっとしますね」
●ほんのちょっとの片づけで、自分自身の心のペースも整います
――もともと「片づけを含めた家事が好き」と、おうち時間も大切にしているといいます。
「仕事でおうち生活を“満喫する”とまではいかないのが難しいところですが、片づけや掃除はこまめにしています。とくに床をお掃除するのはストレス解消になります。床って、知らない間にホコリが溜まっているみたいですね。すき間時間に掃除機をかけると、お部屋全体が広くなった気がしますし、なによりも気持ちがスッキリ」
●自粛期間中に再発見した「ポン酢」の魅力
――またお料理も、昨年の自粛期間中に新たな発見があったそう。
「ポン酢の力を見直しました(笑)。おしょうゆ代わりにも、ソースみたいにも使えるなんて、と。お店の方に教えていただいてからよくつくるのは、お豆腐にポン酢をかけてレンジで少し温めたもの。ミョウガや生姜などの薬味をのせていただくんですけれども。簡単なうえに、冷ややっことはまた違う味わいにハマっています。撮影が続くとどうしても外食やお弁当に偏りがちですから、家にいる時は和食中心のおかずが多いですね」
――ちょっとした健康習慣を大切にしているという沢口さん。
「朝起きたときは、必ずコップ一杯のお白湯を飲んでいます。これも人に聞いて始めました。寝ている間は汗をかくと言いますし、少し水分を摂って胃を刺激してあげると、体の巡りもよくなるような気がします。
また、昔から朝食は必ず摂っています。移動の車の中や現場に入ってメイクしているときに食べる”ながら”朝食ではなく、自宅で食べる時間を設けてから出かけたいんです。
ご飯、パンといろんなメニューの移り変わりを経て、最近はグラノーラに豆乳をかけたものと、フルーツ。それからハムエッグと、ミニトマトも一緒にソテーしてつくっています。ミニトマトって、小さい中に栄養がぎゅっとつまっているみたいですよ。朝から時間をかけて食べることで体も温まり、一日を気持ちよく過ごせています」
●年に2回の募金を続けています
――食生活以外の習慣としては、『ESSEの読者の方ぐらいの頃から、社会に対して、自分にできる範囲内で、少しずつ続けられることを考えるようになりました』とも。
「年に2回の募金を続けています。ただし本当に、自分ができる範囲内のささやかなものです。プライベートでのライフワーク…というのもおこがましいのですが」
――芸歴35年を超える大ベテランでありながら、人としても女優としても「まだまだ学びの最中です」と、あくまで控えめな沢口さん。
「経験を重ねていくと、昔よりも視野が広がり、楽しめることも増えましたが、失敗したな~と思う瞬間も、もちろんたくさんあります(笑)。仕事では、与えられた役の心情を、もっと的確に表現したいですね。役者は表現者として自分を解放するのが大事ですが、私の中ではまだ解放しきれていないと思うことも。だからこそ満足いく表現ができたら、また新たな境地に立てるのではないかと。その瞬間を目指して演技を続けるのが、今の私の課題です」
『科捜研の女‐劇場版‐』
1999年の放送開始から20年以上にわたり、世代を問わず愛され続けている人気ドラマ「科捜研の女」シリーズが、集大成として待望の映画化。9月3日より全国公開
【沢口靖子さん】
1984年『刑事物語 潮騒の詩』でデビュー。1985年NHK連続テレビ小説『澪つくし』で全国的に人気を博し、以降、ドラマ・映画・舞台に多数活躍。代表作に『科捜研の女』『鉄道捜査官』『警視庁機動捜査隊216』『検事 霞 夕子』などがある