マイホームを検討中の人、自宅をリフォームしようと考えている人に知ってほしいのがゼロエネルギー住宅(ZEH)です。「エネルギーを創りながら、省エネルギー&優れた断熱性能で、光熱費の収支がゼロになる住宅のこと。建てたあとも家計に重くのしかかる光熱費を大幅に軽減するためにおすすめです。補助金もあるんですよ」と話すのは、FP2級の資格を持つ海田幹子さん。ゼロエネルギー住宅と補助金について教えてもらいました。
すべての画像を見る(全4枚)ゼロエネルギー住宅で年間の光熱費収支はプラスに!?
「ZEH(ゼッチ)」とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の頭文字を取ったもので、「ゼロエネルギー住宅」などと呼ばれています。「高断熱」「省エネ」「エネルギー創造」の3つを備え、年間のエネルギー収支をゼロにすることを目標とした住宅です。
ゼロエネルギー住宅の魅力は、なんといっても光熱費が安くなること。高断熱を使うことで熱や冷気を逃さず、高性能設備で省エネを実現。また、太陽光発電などの再生可能エネルギー創造により、エネルギー収支をゼロに近づけます。また、余ったエネルギーは売電し収入を得ることが可能です。
経済産業省が発表した「ZEHの普及促進に向けた政策動向と平成31年度の関連予算案」によると、年間の平均エネルギー収支は4万2461円のプラスです。冬は太陽光による発電量が減り、暖房などでエネルギーを使う機会が多いためマイナスですが、3月~11月のエネルギー収支はプラスになっています。住んでいる地域や立地によってエネルギー収支は変わりますが、年間でみるとゼロエネルギー住宅はおおむね“ゼロエネルギー”で生活できるといえるのではないでしょうか。
ゼロエネルギー住宅には補助金制度がある!
2021年度の補助金についてはまだ発表されていないので、2020年度の補助金制度を確認してみましょう。
補助金を受け取れる人って?
ゼロエネルギー住宅には補助金が受け取れる場合があります。補助金をもらえる対象の人は以下になります。
- ゼロエネルギー住宅を新築する人
- 所有している住宅をゼロエネルギー住宅に改修する人
- 建売されているゼロエネルギー住宅を購入する人
補助金の種類は3種類!性能ごとに金額が違う
ZEH | ZEH+ | ZEH+R | |
性能要件 | ZEHロードマップの ZEHの定義を満たす | ZEHの定義を満たした上で、 さらに省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減再生可能エネルギーの自家消費拡大措置の導入 | ZEH+の条件に追加して、 停電時の主たる居室での電源を確保「蓄電システム」「停電自立型燃料電池」 などのうち1つ以上を導入 |
補助金 | 60万円 | 105万円 | 115万円 |
公募方法 | 先着方法 | 事前枠付与方式 | 先着方法 |
ZEHの補助金は3種類あり、住宅の性能によって補助金が変わります。また、公募方法はどの補助金を申請するかによって違い、先着方法と事前枠付与方式があります。補助金は、全員無条件で受け取れるわけではないということを覚えておきましょう。
また、先進的再エネ熱等導入支援事業の一貫で、ZEHとZEH+の住宅を対象に、地中熱ヒートポンプ・システムやPVTシステムなどを導入すると、最大90万円の補助金がもらえます。
補助金申請のスケジュール
2020年度の補助金制度は、ZEHは5月、7月、8月、11月開始の4つの公募がありました。ZEH+は6月と9月の二次公募、ZEH+Rは5月の一次公募のみと、補助金の公募時期も公募回数も補助金の種類によって異なります。きちんと申請できるように、2021年度の補助金制度が公表されたらすぐに申請時期をチェックしましょう。
自治体の補助金制度もチェックを!
国の補助金とは別に、自治体によっては独自の補助金制度を設けているところもあります。今住んでいる都道府県、市町村に問い合わせてみてください。
もし、お住まいの自治体が実施していれば、合わせて受け取れる可能性があります。
コロナ禍で新設!グリーン住宅ポイント制度もチェック
ゼロエネルギー住宅に対する補助金ではないですが、新型コロナウイルス拡大によって落ち込んだ経済を回復させるべく「グリーン住宅ポイント制度」が新設されました。住宅購入やリフォームで条件を満たせばポイントが付与され、獲得したポイントは、「新たな日常」や「環境」、「子育て支援、働き方改革」などに資する商品や、「新たな日常」および「防災」に対応した追加工事に使うことができます。
グリーン住宅ポイント制度は、2020年12月15日~2021年10月31日までに契約を締結した住宅が対象です。
ゼロエネルギー住宅(ZEH)は、高性能・高断熱な住宅でエネルギーを創りながら、エネルギー収支ゼロを目指しています。余ったエネルギーを売電することで、年間単位でみると光熱費がかからないどころか、収入になっている例も数多くあります。光熱費を抑えられる家に住みたい人は、ゼロエネルギー住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
●教えてくれた人/海田幹子
ファイナンシャルプランナー2級の資格を持つwebライター。ライフプランニングや住宅ローン、資産運用などお金にまつわる内容を多数執筆。私生活では2児の母。わかりやすくてためになる記事を心がけている
画像/PIXTA(1~3枚目)