築36年の妻の実家をリノベーションしてYさんのお宅は家族と母、そして妹が6人で暮らす多世帯住宅。耐震補強や断熱工事を行ったうえ、家族全員で団らんできるLDKやそれぞれの個室を設けました。戸建てならではの階高を生かしたロフトや屋根裏収納を設けることで、コンパクトな空間をムダなく活用できる住まいに生まれ変わりました。
すべての画像を見る(全16枚)家族みんなが集う天窓のあるLDK。屋根裏収納のおかげでスッキリ
1階に水回りや寝室、そして2階にはLDKとふたつの子ども室をつくりました。仲のいいYさん家族が自然と集まるのは開放的なLDK。リビングにはゆったりくつろげる革張りのソファを置き、壁面にはオープン棚を設置して家族のアルバムなどを並べています。
右手のはしごは屋根裏収納用ですが、空間のアクセントとしても大活躍。
リビング横には子ども室がふたつ並びます。引き違い窓の外にはバルコニーも新設。ロフトには造作ベッドを設置していて、「友達が来ると必ず一緒に上がって遊んでいます」と妻。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
30代夫妻、長男、次男、50代母、30代妹
▼リノベを選んだ理由
実家の近くに家族4人で住んでいたが、両親が孫をとてもかわいがっていて、夫妻も実家が居心地よく泊まることが多かった。数年前に父が亡くなり、建物の老朽化も目立っていたので、機能的で快適な二世帯住宅をつくろうと決めた。
▼住宅の面積やコスト
延床面積/78.66㎡(4LDK)、工事費2760万円(税、設計料込み)
リビングは天井板を撤去したことで開放感が生まれ、天窓を付けたことで明るさも獲得。一方でダイニングとキッチンはやや天井を下げ、その分、屋根裏収納を新設。おかげでLDKをスッキリと保つことができています。
モールディングを施した腰壁や白いタイル、オープンな吊り棚など、キッチンには妻の好みがたっぷり反映されています。
キッチン背面にはカウンターを造作し、たっぷりの収納を確保。ガラスドアからは直接バルコニーに出られて、換気や風通しも良好です。
ディティールにこだわった水回りは1階に集約
玄関側の外壁と軒裏は、防火木材を板張りにしました。軒裏の上には新設したバルコニーがあります。
そして玄関を入ると天井まで高さのあるL字型の靴収納が。「オープンなので出し入れも整理もラク」と夫。ホールと廊下の床はオーク材のヘリンボーン張りで、どこか懐かしい雰囲気が魅力です。
明るく見せるために、廊下の壁と天井は白で統一して仕上げています。
玄関からやや奥まった場所には階段室があります。リビングの天窓からこぼれる光に誘われるようなレイアウトに。
そして廊下の一角には洗面コーナーも。美しい色づかいのモザイクタイルをアクセントにし、上部には造作の棚を設けました。
洗面コーナーの隣はトイレです。腰壁や床のタイルだけでなく、パーツ類にもこだわりました。
主寝室はグレーの内装でシックな雰囲気に
1階には水回りのほかに個室がふたつあります。廊下突きあたりの主寝室は、白やグレーの内装でシックに。出窓を設けて奥行きを加えました。
主寝室奥にはウォークインクロゼットがあり、その一角にはデスクコーナーも設けています。
2階のLDKについて妻は「私も母も妹も仕事をしているので、キッチンは臨機応変に使っています。あまり意見が食い違うこともなく、食事や団らんを楽しんでいます」と話します。ロフト付きの子ども室はまるで秘密基地のように使われ、今日もふたりの楽しそうな笑い声がY邸に響いています。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
※情報は「リライフプラスvol.33」取材時のものです
設計/アズ建設 撮影/水谷綾子