「どうしてそんな外観になったの!?」と、思わず“2度見”したくなるような家をご紹介し、「どうしてそんな形になったのか」「中はどうなっているのか?」などを明らかにしていく「おもしろ外観の家シリーズ」。第6弾は、「巨大テントの家」!

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まるでテントを張っているように、大きな屋根で囲まれた家。正面から見ると、左半分がオープンになっていることが分かります。敷地全体に屋根をかけたこの家の1階には、LDKとほぼ同じ広さの庭……「アウターリビング」があるんです。

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「近所の人がのぞいていったり、声を掛けていったり。家の中でも外でもない場所なので、それもいいかなと思っています。」と夫。こんなユニークなリビングを出来上がった理由は一体?

目次:

「機能的な庭」が欲しかった外のキッチンと外の食卓

「機能的な庭」が欲しかった

妻の実家の隣に家を建てることになったNさんご家族。要望は、「眺めるのではなく、様々に機能する庭がある家」でした。
「打ち合わせのときは庭の話ばかりしていた」と夫は話します。
子どもの頃、田舎の実家で毎日庭で遊んでいたという体験から、都市の住宅地でも、子どもたちにはのびのびと庭で過ごす環境を与えたかったのだとか。そんなNさんの思いを形にして、室内なのか屋外なのか判然としない大空間が出来上がりました。

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一部にしか屋根がないため、大きな開口から木が飛び出し、雨や雪もそのまま入ってくるのだそう。庭に砂場を作ったり、ハンモックを設置したりして、子ども達が健やかに過ごせる空間を作り出しました。

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子ども達は自然とアクティブになり、親がそばにいなくても飽きずに遊んでいるのだとか。いちいち見に行かなくても、元気にしているのが感じられるので、親も安心ですね。

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長男は木登りが得意で、大きく成長したシマトネリコの木に軽々と登っていきます。「何が危ないかを知るのも、生きる力になる。環境から学んでくれれば」と夫は言います。

外のキッチンと外の食卓

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道路面と85cmの段差を作ることで視線をずらしているアウターリビング。手前に置かれたキッチンが、目隠しの役目を果たしています。

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コンクリートで作られたキッチンにコンロはないものの、シンクと広い作業スペースがあり、庭で遊んで汚れた手を洗うのに便利なんだとか。「コンセントがあるので、朝食のときはトースターを持ってきてパンを焼いたり。ホットプレートの料理もよくやります」と妻。
朝食はアウターリビングでとるNさんご家族。食事の時間になると、テーブルをセッティングします。

Before!

Before!

After!

After!

外のLDKと一体化する室内も、オープンでのびやかな作りになっています。

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ガラスの引き戸をフルオープンにすると、外と内のLDKがつながり大空間が生まれます。1階の床はコンクリート仕上げで、汚れもあまり気にならず、外部との一体感を高める効果も。「外で遊んでいた子どもが、靴のまま横切ったりすることも。床がフローリングではないので、『ま、いいか』と思えます」と妻は言います。

子ども達が毎日健やかに過ごせることを願うNさんご家族の「巨大テントのような家」。

設計/SUPPOSE DESIGN OFFICE
施工/小原木材
撮影/川辺明伸
※情報は「住まいの設計」取材当時のものです