ものを大切に、サスティナブルに使う姿勢が注目されています。洋服も使い捨てるのではなく、少し傷んだとしても、直したり補修したりしながら長く使えると、すてきです。

ここでは「大好きな服をずっと大切に着たいから、刺しゅうで再生させています」と話す、女優で刺しゅう作家の神津はづきさんに、刺しゅうの楽しさについて伺いました。

服を着た女性
胸元の赤い縁取りにいろいろな作品をつけられる、お気に入りのTシャツを着た、神津はづきさん
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大好きな服をずっと大切に着たいから、“はづき刺しゅう”で再生させます

はづきさんの刺しゅうは、題材といい色彩といい、目にすると、クスッと笑ってしまいます。ただ作品をつくるというだけではなく、服のシミや傷をカバーするという役目も。

「服についたシミを隠すのにも刺しゅうは有効。刺しゅうをすると、ダメージカバーだけでなく、楽しさもアップします」

服に刺しゅう
はづきさんこだわりの奄美の泥染。色ムラをカバーするように、奄美らしい刺しゅうが

自身のブランド『R−60』でもその刺しゅうの技が活躍します。

「服をつくるときに決めたのが、廃棄処分をしないこと。たとえば、生産途中でできてしまった色ムラや傷も、刺しゅうで解消させます。残念ながら売れ残ってしまった商品も、ひとつひとつ刺しゅうして、もう一度売ります」

刺しゅうをプラスするだけで、そこに新たな魅力が加わり、結果、無駄も減らすことができるのです。

●古くなったものも刺しゅうひとつで変わります

バッグ
刺しゅうで可憐に蘇ったブランドバッグ

古くなったものを刺しゅうひとつで新鮮に変えるのもはづき流。使い込んだものの、まだ捨てるには惜しいバッグは、陽気な刺しゅうをプラスすれば新しい存在感を発揮。ユニクロの無地のカーディガンには、自由な刺しゅうでここにしかない一着に。これはプレゼントにも喜ばれます。

服2着
ユニクロのカーディガンも唯一無二の1着に

はづき刺しゅうの魅力は自由な発想。まるで絵を描くように、どんどんアイデアが広がっていきます。
「私の刺しゅうは、難しいステッチはまったく使っていません。おもしろそうな図柄を思いついたら、あとはどんどん完成に向けて進むだけ。失敗だって手づくりの味になるんです」

●人気のおっぱいブローチ。立体刺しゅうの入門編

ブローチ

はづきさんの刺しゅう教室で最初の課題にするのが、このおっぱいブローチ。はづきさんの得意とする、綿を仕込む立体的な刺しゅうです。

「綿を入れるなどの基本の作業を覚えられ、少しくらい不格好でも、なんだかかわいいことが実感できると思います」

 

みんなでわいわいおっぱいブローチをつくるなんて、なんだか楽しそう。今はなかなか集まってつくることは叶いませんが、発売中のファッションムック『これからの私が似合う服 春夏』(扶桑社刊)で詳しいつくり方を掲載しているので、ぜひご覧ください。

 

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【神津はづきさん】

 

1962年生まれ。女優。神津善行氏と中村メイコ氏の次女。1983年に女優デビュー、テレビ、映画、舞台出演のほか、エッセーやラジオのDJとしても活躍。1992年に杉本哲太氏と結婚、2児の母に。現在は、趣味が高じて、刺しゅう教室の講師、そして自らのブランド「Petit Taillor R=60」を設立。「はづきさんの刺しゅう教室」は不定期で開催。インスタグラムは@hazukitoito