●最初の一歩は、二人だけの時間をつくってみること

とはいえ、ある日突然なんの前触れもなく、「ちょっとミーティングしたいんだけど」と切り出すのはご法度。急に言われると相手は戸惑い、拒絶反応を示す可能性もあります。あくまでも少しずつ、ステップを踏んでいくことが重要です。

たとえば、次のように――。

紅葉と男女
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「まずは、二人で話す時間を確保することからスタート。月に1回、二人で外食をする。あるいは、『最近運動不足だから、日曜日の朝は散歩しに行かない?』と誘ってみるのもいいでしょう。その時、なにを話せばいいかわからないなら、『最近こういうことに興味があるみたいだけど、おもしろいの?』『私たちももう60歳。子ども20歳になった。私たちが20歳の頃、どういう60歳になりたいと思っていた?』『子どもたちも独立したし、これから二人で楽しくやって行けたらと思うんだけど、どう思う?』など、相手が最近興味のあることや、相手が考えていることを掘り下げるのも一つの方法です」

ここで、「さあね」「わからない」などと流されないようにするには、語尾に「教えてくれる?」の一言を加えることがポイント。男性は、「教えて」という言葉に弱い人が多いからだと言います。

もちろん、それでも相手が話に乗ってこない場合もあると思います。そんな時はどうしたらいいのでしょうか?星さんは「そんな時は、丁寧に今あまり話したくない理由を聞いてみるといい」と提案しています。

「相手がミーティングをしたいと思わない。あまり話したくない理由は実は色々あります。同じ会話への反応が良くないであっても、例えば『今は疲れているから別の時にして欲しい』『急に言われても自分が何を話していいのかわからないから、別の時にして欲しい』、そんな前向きな理由もあれば『口を聞きたくないからやりたくない』と言う理由もあります。単純に会話への反応が良くない、提案への反応が良くない。で表面的に判断するのではなく、理由をしっかりと聞くと関係改善のきっかけになることもあるのです。

その時に注意をしたいのが、会話の反応が良くない、ミーティングをしようと言う提案への反応が良くない理由を聞くときの「聞き方」です。

『何であまり話してくれないの?』『何でやりたくないの?』と、『何で?』と言う言葉は相手が詰問されている、責められていると感じてしまう可能性があります。その時は冒頭でもお伝えした『教えて』が有効ですのでぜひ活用してみてください」

●あまり効果がない夫婦間ミーティングとは?

腕を組む男性と見つめる女性

ひと口にミーティングと言っても、方法次第では効果のほども変わってきます。

「たとえば夫婦が、ランチタイムや通勤時間中などの“すき間時間”を使って、LINEでコメントを送り合ったり、食器洗いや子どもの世話をしながら片手間に会話をしたりするやり方は、あまり効果がありません。なぜなら、ミーティングは、ただ、価値観をすり合わせる行為だけが目的ではありません。二人だけの時間を過ごして、会話をして親密性を高めることが最大のポイント。ここを忘れないでほしい。実際、週に1回、夜に二人で晩酌をする夫婦は、しない夫婦に比べて1.4倍、親密度が高いというデータがあります。会話量の多さや、その時に触れ合えるほど近距離にいること、目を見ながら話すことが、親密度に比例するのです」

星さんは、最後にこう言います。

「夫婦と言っても、元は他人。他人というのは育った環境も、経験してきた事も、全く違います。考え方、向いている方向が違うことも多くて当然です。その元々違って方向を向いている考え方を2人で見られる方向はどこか?と言う『ベクトル合わせ』をするのがミーティングの役割です。そう考えると夫婦関係は永遠のベクトル合わせであり、このベクトル合わせと言う毎日のトレーニングをすることができた夫婦が、良い夫婦関係、と言う幸せに満ちた結果を残せるのだと思います」

さて、あなたはパートナーと良い関係を得られるだけのトレーニングを日常でしているでしょうか?