季節の変わり目は、なぜかやる気が出なかったり、イライラしたりと心の状態も不安定に。
そんなときにも、暮らしに少し取り入れることで「気持ちがととのう、落ち着く」と話題になっているのが「ゆる漢方」の考え方です。ゆるーく実践することで、無理せずゆっくりと心の元気を取り戻しましょう。この時季に感じやすい心の不調と、その対策を、漢方専門家の櫻井大典さんに教わりました。
季節の変わり目こそ試したい。心の悩みに効く「ゆる」漢方とは
漢方の「養生」の考え方で、心と体をととのえるのが「ゆる漢方」です。養生とは、その季節に合った食事や習慣で体調をととのえ、今も次の季節も元気に過ごすための「備える生き方」のこと。「無理せずゆるっと」が実践のコツです。
【お悩み1】やる気が出ない
原因:胃腸の不調、気のつかいすぎでエネルギー不足にやる気が出ないのは、まさに「気」が不足した状態。
「気が不足して『気虚(ききょ)』の状態になると、気力が低下します。体の中の余分な湿気によって胃腸が弱ることが気虚の原因。さらに、活動的な夏は、気をつかう場面が増えるため、これも気虚の原因に」
気を補うのにもっとも大事なのは睡眠。
「理想の就寝時間は22時。体の修復は22時~深夜2時に行われ、この間に寝ていないと気が不足します。また、休日も朝寝坊しすぎず、生活リズムを崩さないようにしてみてください」
対策2:消化のよい、さっぱりとした味のものを食べるやる気を出そうと、焼き肉などの濃い味で消化の悪いものを食べると、エネルギーを消耗し、気の不足を招きます。
「これを防ぐためにも、消化のよいさっぱり味のものを食べましょう。薄味で刺激の少ない和食が理想的」
【お悩み2】イライラする
原因:体の中の湿気やストレスなどで気が滞って怒りっぽくイライラは、気の巡りが悪い「気滞(きたい)」という状態になることが原因。
「体に湿気がたまることも気滞を招きますし、ストレスや暴飲暴食、生活リズムの乱れも要因。気を巡らせる食べ物を食べたり、マッサージや、軽い運動、深呼吸などで気を巡らせましょう」
気を巡らす効果があるのが「理気食材」。
「たとえば、青ジソ、ネギ、ミツバ、パクチーなどの香味野菜や、レモン、グレープフルーツ、ユズなどのかんきつ類がおすすめ。無添加ならグレープフルーツジュースでもOKです」
対策2:こめかみや後頭部のマッサージをする気を巡らすのによいのが、こめかみから後頭部のマッサージ。
「こめかみ→耳の上→後頭部を指で心地よい程度にマッサージしましょう。気の巡りがよくなってイライラが収まります。気分が落ち込んだときにも効果的です」
\これも聞きたい!/ 【お悩み】コロナウイルスのことが不安で仕方ありません
対策:基本の「起きる」「食べる」「寝る」をしっかりを心がけて新型コロナに負けないために重要なのは、基本の生活習慣「起きる、食べる、寝る」をおざなりにしないこと。
「夜ふかしを避け、朝は寝坊しすぎず、胃腸の機能を弱めるような食事を控えれば、免疫力はおのずとついてきます。まずは、基本的な生活習慣をととのえることで、不安に負けない自信をつけましょう」