良質な中古住宅を購入して、建物のよさを生かしつつ、リノベーションをしてみませんか?スクラップ&ビルドでは味わえない、家づくりが楽しめます。また、やり方によっては、新築で建てるよりもコストを抑えることも。 こちらの東山邸は、既存の間取りを極力残しつつ、クローズドだったキッチンをLDKの主役に据えて、空間を見渡せるオープンスタイルに変更。淡いブルーの壁は、ポーターズペイントの塗料でDIY塗装しました。さっそく、お宅全体の様子を紹介していきましょう。

一室空間になったリビングダイニング
懐かしさと新しさが共存するのが、リノベのよいところ
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築43年の丈夫な古家を購入、コストを抑えつつ快適に住み継ぐ

東山さんの家 東京都 家族構成/夫39歳 妻38歳 長女4歳

設計/こぢこぢ一級建築士事務所

この家のこだわりポイント

  • ・既存のよさを生かしつつヒュッテのように
  • ・和モダン×北欧スタイルをミクスチャー
  • ・間取り変更は最小限にして、コストアップを防ぐ
  • ・LDKにはこだわり、予算配分にメリハリを

既存の間取りを踏襲したLDK。柱や梁は現して古家の面影を受け継ぎながら、床はオーク材にするなど内装材を厳選。北欧テイストにまとめ、明るく開放的な空間に仕上げました。

 

上の写真は、リノベ前の様子。

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和モダン住宅のよさを現代のスタイルに刷新

夫はインテリア関係の会社経営者、妻はグラフィックデザイナー兼フォトグラファー。「時を重ねた美しさや、本質的なものが好き」というふたりが選んだのは、注文住宅を請け負う老舗の建設会社が手がけた築43年の戸建住宅。

奇をてらうことのないデザイン、しっかりとした躯体など、すべてが夫妻の理想だったことからリノベーションして住み継ぐことを決めました。

「築年数は経ていたものの、室内は驚くほどきれい。窓回りも結露による劣化がなくて。本物の素材と丁寧なつくりによる、上質な住まいだと思いました」(夫)

リノベで重視したことは、既存のよさを十分に生かすこと。柱などの躯体の美しさや力強さは極力残し、間取りの変更も必要最小限にとどめました。

1階LDKは、クローズドだったキッチンをオープンに変えただけ。梁を表しにしつつ、「ヒュッテのような雰囲気にしたい」という妻の希望で、温もり感のあるインテリアにまとめました。2階はコストバランスに配慮して、間取りや仕上げ材はなるべく生かすことに。メリハリの効いたリノベで、理想の住まいをかなえました。

「今回のテーマは、ヨーロッパに古くから伝わる衣類の穴の補修法『ダーニング』。設計者の小嶋良一さんからの提案です。『よいものを長く着る=ポジティブですてきなお直し』という意味が込められていて、私たちが求めた家づくりそのものでした」と夫妻。

新旧のよさを見事に重ね合わせた東山邸は、多様なスタイルが求められる現代の新たな住宅のひとつといえるのかもしれません。

 

間取り変更は最小限に抑えメリハリの効いたリノベに

東山さん家族のスタイルに合わせたデザイン変更は行いながら、間取り変更は極力抑えたリノベーション。1階は、LDKの床材を替えたほか、和室のふすまを貼り替え、廊下との間仕切りとなる室内ドアの塗り替えにとどめました。

 

 同じ角度から撮影したリノベ前の様子。

 

好きなアイテムを飾る棚で既存の出窓を美しく彩る

既存の出窓に木枠の内窓と棚を設けて、お気に入りの雑貨アイテムを飾るコーナーに。

 

「気分や季節ごとに、小物や食器を替えています。なにげない日常も楽しくなり、五感が癒やされて家時間が豊かになりました」と妻。

 

既存躯体の美と力強さを新たな暮らしに取り込む

丁寧につくられ、住まわれてきた古家のよさを住み継ぐことにした東山さん夫妻。LDKの天井は、以前の仕上げ材を取り除き、力強い躯体の梁を表しにして、建物が持つ歴史と力強さ、そして建築美を暮らしに取り込んでいます。

 

季節感を日常に呼び込み心身ともに癒やされる庭

リビングの延長にある既存の庭を、DIYで植栽し直しました。シマトネリコやハクモクレンなどが、暮らしにうるおいを与えています。

 

塀で囲まれているため周囲からの視線を受けず、ゆったりとくつろぐことができます。

 

手を加えるのは必要最小限。ダーニング的発想でリノベ

寝室は大胆に割り切ったダーニング的工事にとどめました。既存の壁は厚さ15㎜ほどの漆喰塗りというぜいたくな仕上げで調湿効果も十分。そこで、構造金物の補強が必要な箇所だけ壊し、金物補強後、木枠と羽目板でふさぎました。