夏の夜、なかなか寝つけなかったり、途中で何度も目が覚めてしまったり…。寝苦しさに悩まされていませんか?

「原因は、かいた汗でベッド内の湿度が高くなるから。無意識に体勢を変えて体を乾かそうと寝返りが増え、眠りが浅くなりがちです。理想の寝具内の湿度は50%前後ですが、夏は80~90%になることも」そう教えてくれたのは、寝具メーカー「丸八プロダクト」の中野祐三子さん。

じつは室内の温度を下げるだけでは不十分。寝具や寝る前の準備もあわせて工夫することによって、快眠できるようになるそう。その具体的な方法を教えてもらいました。

夏の快眠

「冷房」「寝具」「寝る前の準備」の3つの合わせ技で、寝苦しさを解決!

●冷房のタイマーは3~4時間に設定する

「快眠のいちばんのコツは、体温のリズムに合わせて冷房を使うこと」という中野さん。
「体温は2~4時がもっとも低くなり、その後目覚めに向けて上がります。寝る1~2時間前にエアコンを入れて室内を冷しておき、タイマーを3~4時間に設定すれば、タイマーが切れてしばらくたって気温が上がるころに体温も上がるタイミングになるので、身体を冷すことなく体温を上げてすっきりと目覚めることができます。温度は、27~28℃がおすすめです」

エアコンの効きをよくするためには、熱を部屋に蓄積しないように、外出時に寝室のカーテンをしめておくことも大切。窓に断熱シートをはったりすだれをかけたり、あるいは、グリーンカーテンをつくるのも効果的。また帰宅したら、換気してから冷房のスイッチを入れるようにしましょう。

同じ冷房器具ということで、扇風機を併用する方も多いと思いますが、直接当てるのはNG。
「体温を奪われるうえ、喉や鼻も乾燥し、夏風邪をひきやすくなります。また足にずっとあてるのも、血行障害をおこしこむら返りの原因になりやすいので注意して。首ふり機能を使って上向きに風を送り、室内上部の空気を撹拌させるといいでしょう」

●夏はワッフル織など、通気性のいい生地の寝具に

寝具内の湿度を50%前後に保つためには、通気性のいい寝具に変えてみるのも手です。
「たとえばタオルケットは柔らかくて気持ちいいのですが、肌にまとわりつき密着度が高いので通気性がいまいち。ワッフル織りやガーゼ織りなどデコボコ感のある生地の寝具のほうが、肌にまとわりつかず通気性がよくて涼しいですよ。また寝間着は、暑いからといってキャミソールなど肌を露出すると、かえって汗が乾きにくくなります。素早く汗を吸って蒸発させてくれるパジャマがおすすめです」

●入浴は寝る2時間前、シャワーではなく湯船に浸かって

心地よい眠りに入るためには、事前の準備も大切です。とくに気をつけたいのが、お風呂。
「夏はシャワーで済ませがちですが、ちゃんとお風呂に入ることをおすすめします。人間は深部体温が下がるとスムーズに眠りにつけるので、39~40℃のぬるめのお湯で全身浴で15分程度入ると、温まった皮膚表面から効率的に内部の熱を放散できます。冬は1時間ほどでこの温度が下がりますが、外気が暑い夏は時間がかかるので、寝る2時間前にはお風呂を出るようにするのがベストです」

寝る前にしっかり準備を整え、質のいい眠りで夏を乗りきってくださいね。