女優・川上麻衣子さんの暮らしのエッセー。愛猫家としても知られ、一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務める川上さん(60歳)が、猫のこと、暮らしのこと、出生地であるスウェーデンのことなどをつづります。今回は、88歳の母と進めるスウェーデンの「家じまい」がテーマ。思い出の品々と向き合いながら考えた、これからの暮らしについて語ります。

猫とフィーカ
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フィーカ:fikaはスウェーデン語でコーヒーブレイクのこと

40年来の女優仲間にもらった、思いがけない勇気

川上麻衣子さんと母
スウェーデンで「家じまい旅」実行中の川上麻衣子さん(60歳)と、母(88歳)

先日ドラマの撮影で再会した40年来の女優仲間。皆若い頃から脇を固める存在感のある個性派で、久しぶりの共演でしたが、時を超えて改めて息の合う仕事ぶりがうれしくなりました。

撮影の合間には、それぞれの近況を交えた身の上話。紆余曲折ありながら、子どもをもたずに結果独身同士の女3人。

身寄りがない不安などを話していると、一際生き生きとされたいちばんの先輩から「大丈夫! 大丈夫!! ラクよーー! 家族もだーれもいなくて独りって本当に最高なんだから!! ぜーんぜん心配いらないわよ!!」とケラケラッと爽快に一決されて、なんだか格別な勇気をいただいてきたところです。

さて、今年に入り現在4度目のスウェーデン、ストックホルムにてこの原稿を書いています。

88歳の母と始めた、スウェーデンの「片付け旅」

川上麻衣子さんと母と友人
ストックホルムで偶然友人に遭遇

振り返れば2026年は年明けすぐ、まだ雪が残る生まれ故郷でなんと還暦の誕生日を特別な思いで迎えることができました。その後3月、6月、そして9月の今回と、じつに今年4回目の訪問。季節の移り変わりを感じています。

この度重なる旅の目的は、じつはストックホルムにあるアパートメントの一室を手放すための、「片付け旅」(第二の実家じまい)と名づけてもよいかもしれません。

この部屋は、私が幼い頃、インテリアデザイナーの両親とともに住んでいた家とは異なり、1980年代に当時まだ40代であった母が、スウェーデンとのつながりを考えて購入したものです。

当時私もまだ20代であり、忙殺される日々を過ごしていましたから、年に1度は母とともに休暇を過ごす思い出のこもった部屋でもあります。

古いトランクから現れた、小学生時代の思い出

スウェーデンのアパートメントの内階段
スウェーデンで母が所有する部屋がある、アパートメントの中

コロナ禍や、世界の情勢が不安定となり、海外渡航が以前よりも難しく感じられるようになったことや、いちばんにスウェーデンを愛して止まない母の年齢が88歳に達したことなどで、さまざまな状況は変わってきました。

またご縁があり、部屋の隣に暮らす年配のご夫婦が、購入を希望されたことが母の気持ちを固める要因となったようです。

そんな母のつき添いと掃除を兼ねた私にとっては「想いでを整理する」スウェーデンでの日々。

年に数度と来ることもなくなった場所ではありましたが、なじみのものたちが迎えてくれる居心地のよい場所です。

窓辺に置いた帽子とカトラリー
小学校時代に愛用していた帽子

母があけた古いトランクからは、私がこちらの小学校に通っていた頃に愛用していた、かわいらしいフルーツが刺繍された帽子が色あせることなく出現。しばし記憶をたどり、歌手の桜田淳子さんのかわいらしさに憧れた、小学生当時の気持ちまでもがよみがえってきました。