東京郊外の古い団地でひとり暮らしをする、エッセイストの小笠原洋子さん(77歳)。ものへの執着から自由になり、「1日1000円」の暮らしを楽しんでいます。節約や節制を「ケチカロジー」と名づけ、ものを増やさず、今あるものを生かす小笠原さん。そんな暮らしの工夫と、手放した先に見つけた心地よさを紹介します。

※ この記事は『別冊天然生活 手放して軽やかに暮らす』(扶桑社刊)を一部抜粋・再構成して作成しています。

77歳、団地で「1日1000円の」ひとり暮らし。台所の婦人写真
日がたっぷり入る気持ちのいいキッチンでの料理は、ごく簡潔に。「栄養価重点主義」で、素材をゆでたり焼いたりのシンプル料理が基本だそう
すべての画像を見る(全4枚)

20回の引っ越しが、ものを減らすきっかけに

77歳、団地で「1日1000円の」ひとり暮らし。デスクと椅子写真
亡くなった兄から引き継いだデスクと椅子を書斎に据え、ここで執筆にいそしむ

小笠原さんが暮らすのは、東京郊外の古い団地の一室。南側のベランダが緑の丘に面した、爽快な景色にひかれて選んだ住まいです。

コンパクトなキッチンには食器や道具が収まり、リビングスペースには、亡き兄から引き継いだ大きなデスクを据えています。

ものを最小限にすることを住まいの基準にしている小笠原さん。暮らしの引き算を意識するようになったきっかけは、人生で続いた引っ越しでした。

「これまでに20回転居しました。そのたびに、これまでいかに余計なものを持っていたのだと気づかされ、もうものは増やさないと決めたのです」(小笠原洋子さん、以下同)

ものは増やさず、必要なものが生じれば、あるもので代用。節約とエコロジーを組み合わせた「ケチカロジー」と呼び、暮らしのなかで節約を楽しんでいます。

「あるもので工夫する」ことを楽しむ

77歳、団地で「1日1000円の」ひとり暮らし。台所全体写真
ものを置かずすっきりとしたキッチン。つるした布巾かけはマガジンラックの持ち手をリユース

小笠原さんは、だれかにとっては「不用品」でも、新たな使い道を見つけるのが得意。

以前は、網目がほどけて座れなくなった籐のスツールにも、新しい役目を見つけて生かしていました。

「あるもので工夫するおもしろさは、貧しさという海を渡るオール捌きの上達度を知ること。たとえば、『これでものを買わずに済んだ』『不要だと思っていたものを生かせた』などという喜びです」

なにかが必要なとき、ほかのもので補えないかと探し、考え抜く時間は脳トレにもなり、探す作業が片づけにつながることも。

新品を買って解決する方法は簡単ですが、あるもので工夫することには、それとは違う喜びがあるといいます。