「丁寧さ」よりも「時短」と「ちょうどよさ」

先日東京の家でホームパーティを開催したときに、食材をキッチンバサミ(フィンランド人がみんな使っているフィスカルス)で切っていたら日本人の友達に、「ラウラがハサミで食材を切っているのを見て安心した。私もハサミで切っているから」と言われたことがあります。

このときなぜ友人は安心したのだろうと一瞬思ったのですが、なるほど! 時短で便利なことは手抜きに見えるのか、ということに気づきました。

私自身は時短できるものは絶対に時短した方がいいし、むしろ早くできることに時間をかけるのは時間の無駄だと考えるように育ってきたので、この発想は新鮮でした。

このときは「時短で料理をすることで、ほかにやりたいことに時間が使えるし、自分を大切にすることにもつながると思うよ」と、あまり考えずに答えました。

このようにフィンランドでは家事において「手抜き」という概念が存在しないのです。そして「丁寧」というより「ちょうどいい」、自分が気持ちいいと感じている暮らしを大切にしています。

自分もイッタラの食器を集めたり、フィンランドの天然素材のタオルを使ったり、ゆっくりコーヒーを淹(い)れて飲むのが大好き。このような小さな幸せを大切にしながら、毎日暮らしています。

家事は「好きだからやる」のが心地いい

フィンランドでももちろん「普通の暮らし」の基準があって、日本と違う基準のハードルが高いと感じるときもあります。

たとえば、家の広さは何平米が理想だとか(東京の家の面積をみんなに教えると、「大変だね」と毎回言われます笑)、インテリア大国なので、ほかの人がもっている高価ですてきなインテリアをインスタグラムや雑誌で見ると比べてしまうこともあります。

ただ、ほかの人が設定した「丁寧」に自分を合わせるよりも、自分が「これがいい」と思うことを実践し、そのとおりに暮らせばいいだけ。

実家では父がアイロンがけ担当で、家族のTシャツやワンピースだけではなく、シーツや
靴下までアイロンがけをしています。また、パンづくりも好きで、大切にしているパン種でつくったパンをサウナの中で発酵させて焼いて、とても「丁寧な暮らし」を送っているなと思います。

でも、なぜアイロンがけをやっているかというと、丁寧に暮らしたいという気持ちよりも、自分に向いている、自分が好きだからやっているだけです。そしてこれらの「やりたい」家事のために父がつくるごはんはとにかくシンプル。

だれが家事をやるか、それにどのくらいの時間をかけるか、どこで時間を節約できて、本当にやりたいことを実現するためにどうやって時間を捻出するか、自分にとってなにが大切かを考えて行動に移すことが、フィンランド流の「自分に丁寧な暮らし」かもしれません。

フィンランド発 幸せが見つかるライフスタイル』では、今回ご紹介した代表的なフィンランドの暮らし方のほか、インテリアや手土産など、フィンランドならではの文化を紹介。日々を心地よく幸せに暮らす、フィンランド人の考え方がつまった1冊です。

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