鍵を預けるという「信頼」

植物
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そして最後にもう1つ。とても印象に残っている出来事があります。

スペインで住まいがすぐに決まらなかったときのことです。

「2週間旅行に行くから、その間うちに泊まっていいよ」と、鍵ごと部屋を貸してくれた知人がいました。本当にありがたい申し出でした。

同時に、あまりにもあっさりと鍵を渡してくれたことにとても驚き、そして正直、緊張もしました。信頼してもらっている分、「なにか壊してしまったらどうしよう」「汚したらどうしよう」と、普段以上に気を張って、丁寧に、丁寧に暮らしたのを覚えています。

またこれは別の友人が体験した話ですが、「1か月旅行に行くから、留守の間、3日に1回観葉植物に水をあげてほしい」と、家の鍵を預かったことがあるそうです。

留守中の家に入るという行為は、たとえ親しい友人でも、なかなかお願いしづらいことではないでしょうか。親族でもなければ、少しハードルが高いと感じる人も多いと思います。

それを友人や同僚に、さらっと任せる感覚。そこには細かい説明も、過度な心配も、疑いもありません。人との距離の近さ、そして「信じること」を前提にした、関係性の築き方を感じます。

「違い」があるからこそ、おもしろい

大樹

日本人の遠慮、慎重さ、気配り。スペイン人の率直さ、信頼の置き方、即決力。

どちらが優れているという話ではなく、それぞれが大切にしている場所が少し違うだけなのだと思います。

異国で暮らしていると、日本人である自分の「当たり前」が少し距離をもって見えてきます。違いに戸惑いながら、違いに救われながら、それもまた、海外で暮らすおもしろさの1つだと感じています。