画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん(76歳)。高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしながら、月4万円の年金で生活しています。今回は、小笠原さんの古布活用アイデアを紹介します。

小笠原洋子さん
もたない暮らしをする小笠原洋子さん(76歳)。タオルや肌着を最後まで活用するアイデアとは?
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古くなったタオルは、日々のプチ掃除に活用

タオル

古くなって薄くなったり黒ずんだタオルを、たとえばハンガーに巻いて、大事な衣類の保護に用いたりするなど再利用する手もありそうですが、私の場合、古タオルは小まめに掃除をするための雑巾にすること一辺倒です。

年をとって、自分でも驚くほど食べることが下手になりました。卓上だけでなく、一食ごとに必ず衣服や床に食べこぼしをしてしまいます。あいにく床掃除をするための市販のシートなどは、節約上買わないことにしていますので、床掃除はもっぱら古布です。なかでもタオルは、床掃除にとっていちばん上等な雑巾だといえるでしょう。

普通の縫いものなら丁寧に仕上げなければなりませんが、1、2度使ったら捨てる雑巾用のタオルなら、切り口を三つ折りにして“雑に縫える”ことが痛快というものです。

もたない暮らしだからこそ、大切に使って手放したい

窓際

それでもおろしたてのタオルは、私はとことん丁寧に扱っています。とくに洗濯後は長い方の一辺を両手で持って、上下に20回振り、つぎに反対側を持ち直してまた20回振って、タオル地の織り目を立ち上げてから干します。ふんわり仕上げになり、長期間硬くならずに用いられるからです。

そして役目を終えたタオルは、広範囲の床ふき掃除にもってこい。ふいたあと、部屋を満たす清涼感は、このタオルのおかげと感謝してから廃棄しています。最後は洗わず、絞らず、豪快に捨てることも古タオルの使用の醍醐味です。