いつかは向き合う日が来る「実家の片付け」や「実家じまい」。思い出品を手放すことはなかなか難しかったり、ものがいっぱいあることで費用がかさむなど、考えれば考えるほどその悩みは尽きませんよね。そこで今回は、片付けコンサルタント下村志保美さんが、70代になってから実家の片付けを始めたお母さまの事例から学んだことをご紹介します。
すべての画像を見る(全5枚)「実家じまい」でかかった費用と母の工夫
2025年3月、母が愛媛の自宅を手放し、ケアハウスに入居。私は東京に住んでいるため、自分のものの確認も含めて数回は手伝いましたが、実家の片付けはほとんど母がひとりで進めました。
私は引っ越し当日に荷造りや搬出&搬入を手伝っただけでしたが、地方の戸建ての家を丸ごと空っぽにした「実家じまい」は、不用品の処分費用がわずか6万5千円ですみました。
実家じまいというと不用品の処分だけで「数十万円~100万円以上かかる」と聞くことも多いですが、どうしてここまで安くすませられたのか。その背景には、母の計画性と工夫がありました。ここからは、母の実践から学んだ3つのポイントをご紹介します。
1:時間を味方にする
母が住む自治体では、年間6回まで粗大ごみを無料で出すことができました。そこで、この制度を数年間フル活用し、引き取ってもらえる粗大ごみの範囲内で、季節ごとに不要な家具や家電を少しずつ処分。
「思い立ったらすぐ」ではなく、「予定を立てて少しずつ」進めたことが大きな節約とつながりました。
もし母亡きあと、私が東京からまとめて片付けを行っていたら、滞在日数の制限から回収業者に依頼するしかなく、費用は10倍以上になっていたはずです。実家じまいは時間との戦いではなく、時間を味方にすることが節約のカギです。
2:イベントや地域サービスを活用
母は、地元の葬儀社が開催する「人形供養」「写真供養」を活用し、捨てにくい思い出の品を納得して手放しました。
●着物やピアノ…思い出品の行方
・大きな工芸品の座卓→ お寺に寄進
・ピアノ→ 譲渡先を探してもらう
・着物や衣類→途上国支援になるキットを活用
・庭木の伐採→ シルバー人材センターに依頼(18000円)
「もったいない」という気持ちは、処分先にストーリーがあると整理しやすくなります。母は「引き取ってくれる先があると気持ちが軽くなる」と話していました。