レシピ本やエッセイ、小説、漫画など、さまざまある食の本。今回は、本好きで、本を知ってほしくて書店を開いたという“本の虫”の店主7人が薦める、選りすぐりの一冊をご紹介します。
すべての画像を見る(全13枚)恋愛模様の中に「重要アイテム」として料理が登場
BOOKSTAND若葉台(神奈川県)の三田修平店長がおすすめするのは、『にこたま』(全5巻・画像1枚目)。
「恋愛模様のなかに料理が入り込んでいて、キーアイテムになっています。チーズとほうれんそう入りと、しらすとのり入りの玉子焼きの食べ比べとか、たまりません」
同棲しているカップルの日常を描いた漫画。弁当屋に勤める彼女と弁理士の彼との間で起こる浮気や病気など、さまざまな問題。それを乗り越えていくなかに、料理が重要なアイテムとして登場する。
・渡辺ぺこ作 講談社刊
火や包丁を使わない料理を、平野レミさんが紹介
誠光社(京都府)の堀部篤史店長がおすすめするのは、『平野レミのおりょうりブック』。
「火も包丁も使わないというコンセプトが面白い。息子さんたちが一生懸命に描いたであろう、かわいいイラストがわかりやすくて、僕でもつくれそうだなと思わせてくれます。本のデザインは、ご主人の和田誠さん。僕は和田さんの大ファンなので、その点も好きな理由です」
料理「愛好家」の平野レミさんによる絵本。火や包丁を使わずにできる簡単料理を紹介。混ぜごはんや、材料を混ぜてふるだけのお菓子など、子どもと一緒につくれるものばかり。
・平野レミ文、和田 唱・和田 率絵 福音館書店
34人の執筆者が「食」について語るアンソロジー
book cafe火星の庭(宮城県)の前野久美子店長がおすすめするのは、『もの食う話 新装版』。
「内田百間や武田百合子、水木しげるや筒井康隆と、執筆者の幅広さが魅力です。実話とフィクションが交ざっていて楽しい。食べることは本能でもあり、文化でもあり、食べ方は生き方でもあると思わせられます」
森鴎外や吉行淳之介、澁澤龍彦や赤瀬川原平など34人の執筆者による小説やエッセイ、漫画を集めた一冊。食にまつわる楽しみや喜びのほか、不安や恐怖なども描いた伝説のアンソロジー。
・文藝春秋編 文春文庫