半導体はどのようにつくられるの?

オイルマネー
※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)
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なぜ石油をめぐって世界が争ったかというと、それは石油が限りのある資源だからです。

無限にあるものだったらだれも争いません。じつは半導体も同じで、ごく限られたところでしかつくることができません。半導体も石油と同じ、限られた資源であるというわけです。

まず、半導体の製造には、大量の水と安定した電力が必要となります。世界広しといえども、大量の水と安定した電力がある場所というのは、そうありません。なので、半導体の製造はどこでもできるわけではありません。

とりわけ、最先端の半導体を製造できるのは、いまのところ台湾、韓国、アメリカくらいです。そう考えると、半導体は石油よりももっと限られた資源といえるかもしれません。

さらに、半導体の製造はひとつの場所で完結しません。半導体をつくるには、設計、製造、点検など20以上の工程が必要となります。

これらの工程はどこか1か所でできるものではなく、設計はアメリカ、製造は台湾、最後の点検は日本、といった形で、半導体は世界を旅してわたしたちの手元に届きます。その長い工程のうちどれかひとつが欠けても、きちんとした半導体にはなりません。

違う言い方をすれば、この一連の流れからはずれたら、半導体をつくるのが難しくなります。

最先端の半導体製造装置の値段は、1台200億円!

もうひとつ注目すべきは、半導体産業では、ある会社が世界のシェアを独占しているということがしばしばあるということです。

たとえば、私たちが使うiPhoneに入っている半導体のほぼすべてが台湾のTSMCという会社でつくられています。

また、最先端の半導体をつくるのに必要な「EUV露光装置」という装置がありますが、この装置の世界シェアはほぼ100%、オランダのASMLという会社が持っています。最先端の半導体をつくろうと思ったら、オランダから輸入するこの装置が必要です。

ちなみにこのEUV露光装置のお値段は1台200億円以上。日本にあるのはたったの1台、2024年の末にようやく導入されたものです。このように、半導体はいろんな国と協力しないとつくれないもので、その一連の流れから外されるととても困るものなのです。

※この記事は『高校チュータイ外交官が世界のニュースを「そもそも」解説 13歳からの国際情勢』の一部を抜粋し、再編集しています

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