地震などでライフラインが止まると、冷蔵庫の中身が傷みやすくなります。そんなときはどのように食事を確保すればよいのでしょうか? そこで、災害時に優先して消費したい食べ物や、火・電気のいらないパスタレシピをご紹介。国内外30件以上の被災地に入り、医療支援を行ってきた国際災害レスキューナース・辻直美さんに教えてもらいました。

イラスト
防災のプロに聞く、災害時でもおいしい食事のとり方
すべての画像を見る(全7枚)

限られた材料と環境でおいしい食事をとる

最優先すべきは水の確保。その後なるべく早いタイミングで冷蔵庫の中身を確認して、献立計画を立てます。

「停電などライフラインが断絶している場合はとくに、生鮮食品から使っていきます。冷凍食材は溶け始めるギリギリまで手をつけず冷凍庫の冷気を維持し、傷みやすいものから消費します」(辻さん、以下同)

そして、日もちする乾物を少しずつ食べ、缶詰なども使いつつ工夫をすれば、家にあるもので1か月は食いつなげられるそう。ただ、「避難生活において食は数少ない楽しみ。食べるものは精神的な支え」と辻さん。

「だからこそ、食べ慣れた、好きな味であることは大切だし、温かい料理を出せるよう準備して欲しいと思います」

そしてそれは、物理的な備えだけでは難しいと言います。

「私は年4回、ライフラインをきって1週間生活するようにしています。そこまでせずとも、年1回でもいいので、備蓄品をカセットコンロで調理するなどの“食事の防災訓練”を、家族みんなで行ってほしいです」

●冷蔵庫はむやみにあけないで!

一度、冷蔵庫全体の中身を確認したら、その後は計画的な開閉を。

「とくに冷凍室は冷気を逃がさなければ、停電になってからも24時間程度は食品の品質が保たれるとされています(※)」

※ アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のデータによる

被災時には温かいものが食べたくなる

カセットコンロ+ボンベのイラスト
カセットコンロ+ボンベやポータブル電源があると◎

「被災地で炊き出しが行われ、温かい食事によって被災者に笑顔が浮かぶところを何度も見てきました」と辻さん。

温かい食事の癒やし効果は抜群。簡単な調理ができるようカセットコンロ&ボンベ、ポータブル電源などを備えておくと、厳しい避難生活を乗り越える力が湧きます。