自然災害はいつどこで起こるかわからないのが怖いところ。とくに地震の多い日本では、揺れが収まるまでの一瞬の判断が生死を分けることもあります。そこで、地震が発生したときにいる場所別の「命を守るアクション」をご紹介。災害レスキューナースとして国内外30件以上の被災地で医療支援を行ってきた辻直美さんに教えてもらいました。
すべての画像を見る(全5枚)「自分の身に迫る危険を即座に判断していく
「地震が起きたら、落下物から身を守ることが最優先」と辻さん。明らかに危険な場所にいる場合はすぐその場から離れますが、基本的にはその場で頭部を守りながら揺れが収まるのを待ちます。
その際の注意ポイントが、「頭頂部だけではなく延髄(首の後ろ)をしっかり守る」ということ。「ダンゴムシのポーズ」がすぐとれるよう練習しておくのがおすすめです。ダンゴムシのポーズは、自然と頭頂部と内臓も守れるので、ぜひマスターを。
「もしバッグや雑誌など手近に頭を守れるものがあれば、なんでも活用していきましょう」(辻さん、以下同)
そして、揺れが収まったら安全な場所に移動します。
「恐怖心から周囲の状況を確認せずしゃがみ込んだり、立ち尽くしてしまったりする人もいます。災害時には我に返るまでの数十秒が明暗を分けることがあります」
自分の身に迫る危険を判断できるようになるには、日頃から「ここで地震が起きたら?」とイメージしておくことも大切なのです。
家にいるときは「ダンゴムシのポーズ」
地震発生直後にもっとも大切なのが落下してくるものから身を守ること。なにもものが落ちてこない「安全地帯」に逃げるか、頑丈なテーブルがあれば、その下に入って「ダンゴムシのポーズ」。首の後ろ(延髄)と内臓を守ります。
足をケガしてしまうと、その後の避難行動に支障が出ます。テーブルの下に隠れるのであれば、足もしっかり隠れるようにして。落下してきたものでケガをする危険があるので、手でテーブルの天板をつかんだり、脚をつかんだりするのはやめましょう。
電車の中にいるときはバッグで首を守る
・バッグを掲げて延髄を守る
電車での被災で怖いのは緊急停止による転倒。立っている場合は、手すりやつり革をしっかりつかんで。
「座っている場合は、足を踏んばってバッグなどで守りながら、頭を低くして」
・ホームは危険! 可能なら電車内に避難を!
電光掲示板など落下物の危険があるホームよりも、停車した電車内の方が安全なケースも。
「命を守る確率が高い行動を冷静に選択して」