画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん(75歳)は、高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。年金節約者の小笠原さんの暮らしのモットーは、お金を大切に使うこと。高齢者になってやめたことについてつづってくれました。

小笠原洋子さん
小笠原洋子さん
すべての画像を見る(全3枚)

ウィンドーショッピングをやめた

高齢になった私がやめたこと。ひとつはウィンドーショッピングです。若い頃は買い物に熱心でしたが、現在はスーパーを長時間歩きまわることもなくなりました。棚から棚へと歩けば、必ず欲しいものや入り用だったと思い出すものが目に飛び込むからです。

今は、事前にメモをしていった商品だけを探し、早めにレジへ向かいます。雑誌やウェブのカタログショッピングもしていません。節約のため、買えなくなったからではありますが、若い頃から、いつかはやめたい習慣だと思っていたことを、60歳ころから実行できるようになりました。

お菓子を買うのをやめた

ようかんと甘酒

お菓子類はほとんど買いません。たとえば旅先で特産菓子に出合ったときや、保存用の羊羹(ようかん)などは別にして、20代の頃から甘味は既に控えてきました。スナック菓子も、30歳ころから徹底的に食べなくなりました。10代の頃は友達が食べているものに誘導されましたが、食べ過ぎには問題があると知ってから、まったく買わなくなりました。

スナック菓子はつい食べ過ぎにつながると思い、買わなくなりました。「お菓子より果物を!」と考えると抑制が効くようです。

ペットボトルの飲み物を買うのをやめた

自動販売機のペットボトルなどの飲料水も買いません。必ず水や湯を持って出かけます。販売機の前に立ちどまることがありますが、それは商品のデザインを見る楽しみであり、いつの間にか、飲むものだとは思わないようになりました。CMなどの影響で、よく新商品が話題になるようですが、私は情報として聞くだけ、見るだけにとどめています。

情報といえば、高齢期に入ってから聞き逃したくない情報は、栄養素に関することと、健康維持に関することです。食べ物の栄養価については、平素気を使っているつもりです。物価高の今、「なるべく低価格で栄養価の高いものを」というポリシーで食材を求めるようにしています。運動など健康維持の情報は、なるべく目をとおすようにします。宣伝商法には乗らないよう気をつけながら、なるべくシンプルですぐに思い出せるストレッチや、長続きする体操などを心がけています。

デリバリーを頼むのをやめた

デリバリーはほとんどしたことがありません。高齢期に入ってからは皆無です。新型コロナ流行期、デリバリーの広告をよく目にしましたが、お高い。1回で食べ終わってしまうものは、私にはもったいないとしか思えないのです。

また、節約するために飲食を控えた食品に牛乳があります。栄養価が高く、できるだけ摂取するほうがいいのでしょうが、好物のヨーグルトを買うと牛乳まで手が届きません。持ち帰る荷も重くなります。

そこで代用しているのがスキムミルクです。きっと料理に使うことはあっても、そのまま飲むのはお好きでない方が多いと思いますが、私は慣れました。慣らしたのです。スープや紅茶などに入れて飲むケースが多いですが、カルピスを少し加えて飲むのも決してまずくはないですよ。