「出かけなくても、お金を使わなくても、楽しみの種は身のまわりにたくさん転がっているのです」。そう語るのは、医学博士・管理栄養士として活躍をし、ひとり暮らしをしている本多京子さん(70代)。日々を丁寧に楽しみながら生きるコツについて教えてもらいます。
すべての画像を見る(全2枚)ひとり暮らしの密やかな楽しみ
子どもが巣立ち、仕事も少しずつ手放しつつある今、家での時間がなによりも楽しく感じます。旅行や買い物もいいですが、やっぱり私は、自分の家が大好き。少女時代を思い返してみても、外で遊ぶよりも家のなかにいることの多い子どもでした。内向的というわけではないのですが、ひとりでなにかをしている時間が楽しかったのでしょうね。
なかでもいちばん楽しいのは、料理をしているとき。食材とじっくり向き合い、いろいろな調理法を試してみたり、新しいレシピを勉強したりするのは至福の時間です。
先日、北海道の知人から「雪化粧」という、皮の白い、珍しいカボチャを頂きました。育てた野菜を、わざわざ送料をかけて送ってくださるのですから、お金には代えられない、価値ある贈り物です。せっかくなので、この貴重な雪化粧を無駄なく食べきろうと、皮や種、ワタまで、丸ごと使っての調理に挑戦してみました。
白い皮はキンピラに。果肉はサラダや煮物、種は干してドライシードに。残ったワタをポタージュにしてみると、舌に鮮烈な苦みを感じました。「ああ、カボチャにとって『種』は子どものようなもの。鳥や獣に食べられないように、苦いワタで守っていたんだ…」と気がつき、食材に丁寧に向き合うことは、感動や喜びにつながることを知りました。
「環境に優しい、エコな楽しみ」の一例
近頃のわたしは、環境に負荷の少ない循環型の社会に興味津々。「エコでお金をかけない楽しみ」を探して、暮らしのなかであれこれ実践しています。たとえば…。
(1) あきビンにアクリル絵の具で絵を描いて、インテリアのアクセントに。シールやマスキングテープをはったり、ドライフラワーを挿したりしてもかわいい。
(2) 新聞やチラシで箱を折って、ゴミ箱に。調理中の生ゴミはここに入れておき、なるべく乾かしてから捨てることで、ゴミの削減につながる。
(3) 使い終わったカレンダーで紙袋をつくり、ミニバッグに。頂き物のおすそ分けや、手土産を渡すときに便利。きれいな写真のカレンダーを使うと、すてきに仕上がる。
(4) 手縫いでリサイクル小物づくり。着物をほどいてバッグや洋服にリメイクしたり、使い古しの手ぬぐいを縫い直して、孫が学校で使う雑巾にしたり。
じっと作業していると肩が凝りますから、ときどきは「けん玉」で体を動かすようにしています。想像以上の全身運動になりますし、手先を使うことで脳トレの効果もあるとか。こうした数々の趣味に没頭しているうちに、毎日、あっという間に時間が経ってしまいます。