「緑内障」と「白内障」はまったく別の病気
「緑内障」は、文字だけで見れば白内障と似たものだと勘違いしがちですが、まったく別の病気です。
白内障は水晶体が濁ってくる病気であるのに対し、緑内障はその水晶体を通った光が当たる部分、網膜にある視神経に障害が起きる病気だと、真鍋先生は解説します。
「その主な危険因子は『眼圧(がんあつ)』です。眼球の前方部、水晶体と角膜の間には『房水(ぼうすい)』という液体が流れていて、眼球内の圧力を調整しています。眼圧は健康診断でも測定するもので、正常値は10~21mmHgの範囲と言われています。
この房水の流れがなんらかの原因で阻害されて眼圧が上昇すると、目の奥にある視神経が圧迫されて傷ついてしまいます。すると視神経の傷ついたところは光を処理できなくなり、視野が欠けていってしまうのです」
ところが、緑内障の視野欠損は初期だと自覚症状がほとんどありません。多くの緑内障は、視野の周辺部から徐々に狭まっていく傾向があり、中心部は比較的最後まで残ります。このため視野が狭まっていることに気づきにくく、緑内障を放置してしまい、症状が進行し、眼科を訪れたときには末期…ということが多いのです。
「緑内障」は日本での中途失明原因第1位。でもきちんと治療しすれば大丈夫
現在、日本人の中途失明原因1位がこの緑内障です。中途失明に至った人の4人に1人は緑内障が原因なのです。
「痛くもかゆくもなく、自覚症状も出にくいので、緑内障はなかなか早期発見・早期治療ができません。視野障害が進み、視野の欠損が中央部に及んでから初めて『見え方がおかしい』『視力が落ちたかも?』と感じ始めます。
緑内障は視神経が障害を受ける病気なので、現代の医療では回復させる手段がありません。緑内障が末期になると、治療効果が限定的になるため、予後が悪くなる傾向があります。しかし、早期発見し、きちんと治療をすれば、99%失明することはありません」
緑内障のほとんどは、10年以上をかけてゆっくりと進行していきます。早期発見し、治療を継続できれば、視神経へのダメージを減らし、緑内障を食い止めることができます。
「先に緑内障の危険因子は『眼圧』だと言いましたが、日本人の約7割は眼圧が正常値なのにもかかわらず緑内障になってしまう『正常眼圧緑内障』です。健康診断でも眼圧を測定されることがあると思いますが、眼圧が正常値であれば緑内障ではないとはまったく言えませんのでご注意ください」
定期的な眼科通院と毎日の目薬が重要
すべての画像を見る(全5枚)定期健診のなかで、法律で定められた目の検査は、視力検査だけ。視力検査だけでは目の状態はなにもわかりません。
眼科ではOCTという精密機械があり、非常に早い段階で緑内障を見つけることができます。早期に緑内障を発見し治療を開始すれば、視野欠損を自覚することなく過ごせている方も少なくありません。
「大切なのは、定期的に眼科へ通院し、毎日目薬をさすこと(点眼)。しかしこの点眼治療を途中でやめてしまう人が多いのが実情です。点眼治療を開始して、3カ月で3割が脱落。1年で4割が脱落。2年経つと治療を続けている人は半分になってしまいます。
点眼をやめてしまうと、もちろん緑内障の進行は早まってしまいます。点眼は毎日行う必要がありますし、目薬はさし心地のよいものではありません。それに、緑内障は治療の効果を感じにくく、視野欠損がひどくなければ自覚症状もありません」
緑内障となってしまった人は、点眼治療を習慣にすることをオススメします。
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