冬はほかの季節と比べて頭がぼんやりすると感じたことはありませんか? 気のせいですませてしまうものですが、解消すれば、日々の生活がよりよくなるはずです。今回は、寒さによる筋肉の緊張による影響や、頭が冴える簡単なエクササイズ方法を、内科医・心療内科医で「心療内科医が教える本当の休み方」などの著者でもある鈴木裕介さんに教わります。
すべての画像を見る(全4枚)冬に頭がぼーっとしやすくなる理由
冬に頭がぼーっとしやすくなるのには理由があります。「寒いっ!」というときには、身体を縮こませますよね。このとき、筋緊張が起きます。
首や肩の緊張が続くと、肋骨周りの肋間筋の動きが悪くなり、胸式呼吸がしにくくなります。自ずと呼吸が浅くなることから、酸素が脳や身体全体に行き渡りにくくなり、頭がぼんやりしてしまいます。
また冬は、日照時間の低下により、幸せホルモンである「セロトニン」の分泌低下などが原因で、意欲や気力が低下しやすくなります。これを「冬季うつ」と呼ぶことがあります。冬季うつは、普通のうつと異なり、覚醒度が落ち、眠気が増して過眠傾向になるのが特徴です。
また筋緊張により、肩こりや腰痛、関節痛が生じることもありますが、メンタルが落ちていると、より痛みを感じやすくなります。寒い日に腰痛がひどくなった経験はありませんか? 冬季うつになりやすい冬場は、とくに痛みを感じやすいのです。
冬場はストレスをケアするなど、メンタルをよくすることも考えて身体をいたわりましょう。
頭がパッと冴えるエクササイズ
頭がぼんやりしていると、仕事や家事に影響が出てしまいますから、覚醒度を意識的に上げましょう。ポイントは、上半身をストレッチして血流をよくすることです。
今回は覚醒度が上がるエクササイズを2つご紹介します。身体になんらかの痛みがある場合には無理のない範囲で行ってください。
●1.漸進的(ぜんしんてき)筋弛緩法
筋緊張は、筋肉の力をやわらげることが1つの対策となりますが、力をゆるめると言われても、なかなかできないもの。そこでおすすめなのが、漸進的筋弛緩法です。
あえて筋肉を意識的に緊張させてから、ふっと力を抜きます。これにより、筋肉の力を抜きやすくなります。
たとえば、
・こぶしをぎゅっと握った直後にふっと力を抜く
・腕に力こぶをつくった直後にふっと力を抜く
・肩をぎゅっとすぼめた直後にふっと力を抜く
・肩甲骨を背中の中央へぎゅっと寄せた直後にふっと力を抜く
・ふくらはぎにぎゅっと力を入れた直後にふっと力を抜く
など行ってみてください。きっと身体がリラックスするはずです。
●2.デスクワーク中は上半身をストレッチする
簡単にいうと、普段のデスクワークの前傾姿勢の「逆の姿勢」を取ることです。
猫背気味の姿勢から、両肘を後ろに引いて、肩甲骨を背中の中央に寄せるようにしながら、背中を反らせます。ひじを曲げたまま両腕を左右に広げましょう。これだけでも上半身がストレッチされて、気持ちよく感じると思います。
デスクワーク中は1時間に1回程度、行うとよいでしょう。
また、両腕を真上に挙げた後、横に水平に降ろして腕を伸ばしてから降ろすストレッチを10回程度、繰り返し行うのもおすすめです。背中の筋肉を動かすと血流がよくなり、覚醒度が上がりやすくなるでしょう。
血流をよくする意味では、ぬるめの湯に長めにゆっくりつかるのもおすすめです。