フランスといえば、常に女性であること男性であることを大切にして、結婚していても恋愛に明け暮れる、そんなイメージを持っていませんか。でも、「私がフランスで美しいと思うのは、自由に恋愛してお互いをあざむき合う夫婦ではなく、歳とともにさらに愛を深めていく人たちです」と話すのは、フランス文化研究者・翻訳家でフランス人の夫をもつペレ信子さん。ここでは、ペレさんにフランス人夫婦について感じたことをレポートしていただきました。

青空と街中
寄り添って歩いてみましょう(※画像はすべて著者撮影のイメージ写真です)
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離婚率が高いと思われているフランス。じつは日本と離婚率はほぼ同じ

テーブルとチェア

映画やフランスについての著作の影響でしょうか、恋多き男女が多いイメージのフランスは離婚率も高い印象があります。私もなんとなくそうなのかと思っていたのですが、統計を調べると2022年の日本の離婚率は1.47(人口千対、厚生労働省2022年人口動態統計より)で2019年のフランスの離婚率は1.4(フランスの統計経済研究所のサイトより)で、ほぼ同じなのです。

私の肌感覚ですが、フランスではほかのパートナーが見つかったり相手を愛していないと感じると我慢せずに別れを選ぶカップルが多いのと同じくらい、見ていてこちらが幸せになるような、目標にしたい年老いても仲のよい夫婦もとても多いのです。

いつまでも仲良い夫婦でいられるための工夫

青空の下で手をつなぐ夫婦

フランスの街を歩いていて老夫婦がお互いをいたわり合って腕を組んで歩いていると、私たちもそうなりたいと羨望の眼差しを向けてしまいます。そんなカップルと少しでも言葉を交わせるときには、彼らはちょっとふざけて相手をからかったり、謙遜して自虐的な冗談を言ったりしつつ、必ず最後は相手を気づかう優しい言葉をかけていることに気がつきます。

たとえば「腕を組んで歩いていて仲良しですね」と言うと、「お互いにつかまっていないと転んじゃうんでね。杖の代わりですよ。」とご主人。「あらひどいわね。」と奥様。「もちろん冗談だよ。君につかまっていないと僕は子どものように迷子で不安になってしまうから」と言うご主人を愛おしそうに見つめる奥様、という感じ。ユーモアと優しい言葉のやり取りが、何十年も寄り添って生きている2人の関係を想像させます。