今や小学校低学年から塾に通う子も珍しくないほど、中学受験は長い戦いになっています。そのなかで分岐点となるのはどこなのでしょうか。「今思えばわが家の場合は、4年生の夏が分岐点だった」と語るのは、元中学受験塾講師で受験真っ最中の小学6年生のお子さんを持つ天海ハルカさん。天海さんの家庭で感じた受験の分岐点について、お話を伺いました。
すべての画像を見る(全3枚)本格的な中学受験は4年生から始まる
中学受験塾も、3年生までは学習塾とさほど内容は変わりません。中学受験に向けた本格的な勉強は、4年生になってから始まります。
実際にほとんどの中学受験塾が、3年生までは算数と国語の2科目で、4年生から算数・国語・理科・社会の4科目になります。
わが家の娘は3年生から塾へ通い始めましたが、4年生になって宿題の量に驚いていました。次の授業がある1週間の間までにはとても終わらず、娘本人も「無理だよー」とあきらめ、勉強に対するモチベーションが一時的に下がったのを覚えています。
4年生でどれだけ負荷に慣れるかが分岐点だった
今思えばこの4年生のステップアップを乗りきれたら、今の偏差値はもっと違ったのでしょう。
娘は4年生の時期に、「できる範囲でがんばる」という選択をしました。優先順位の高いものから取り組み、難しいものやプラスアルファのものは残しました。できるだけがんばるが無理はせず、睡眠時間はしっかり確保し、精神的に追い詰められないよう余裕をもたせるように。
おかげで「中学受験を止めたい」と言うことはなく、入試直前まで「中学受験をしたい」という気持ちのままにこられたので、悪い選択ではなかったと思います。
しかし、偏差値を上げられる選択肢はありませんでした。偏差値を上げるには、今の自分より少し上、ちょっとつらいと思うくらいの負荷が必要です。常に今より上のステップを目指して、負荷に慣れるのが4年生だったのですよね。
とくに4年生前半、夏までの間に負荷のある状態にどれだけ慣れて、当たり前にこなせるようになるかが分かれ目だったと思います。
親は「もっとできたはず」と思ってしまう
わが家の場合、娘には十分抱えきれる程度の負荷しか与えなかったため、入試直前の今でも「無理だよー」と言って、「あと一歩」が超えられません。もう少し粘ってほしい、無理かもしれないけど試してほしい…親としてはそう思うのですけどね。
ひと言でまとめるなら向上心がたりず、現状維持が手いっぱいのままここまできました。もともと難関校を志望しているわけでもなかったため、娘としては順調に進んでいると感じているようですが、親としては、せっかく塾にも通っているのだからもう少し上を目指してがんばればいいのにという気持ちはあります。
4年生でしっかりと波に乗れていれば、今のチャレンジ校を志望校に、志望校を安全圏の抑え校とすることも可能だったかも…なんてことを考えてしまいますね。