長年夫婦を続けていくなか、ひとり時間を増やす人がいる一方、あえて夫婦で過ごす時間をつくるようにしている人もいます。50代60代の女性の暮らしに関する著書がある原田さよさんは、夫婦で出かける機会を増やしているそう。その理由について語ってくれました。
すべての画像を見る(全4枚)60代、ひとり時間、夫婦時間も大切にしたい
私は、小学生の頃から、休み時間もひとり教室に残って好きなことをしているタイプでした。結婚してからはずっと、子育てなどで忙しい時期が終わったら、ひとりで自由にしたいと憧れてきました。ようやくそれができるようになった50代からは、機会をつくってはひとりで出かけています。
そんななかでも、今は、夫とときどきマイカーでの1泊旅行をしたり、日帰りで遠出したりするようになりました。目的はズバリ、会話を増やすことです。
ちなみに、夫は私と違って寛容で、細かいことを気にしない人ですが、不満がないわけではありません。言い出したら噴水みたいに吹き上がります! 言わないのは、亡くなった息子の療育でも同居の義母の介護でも、夫がいたからこそこなせていたと思っているからです。夫婦というより、同志のように思っています。
不満はお互い様でしょうし、私も夫もそれぞれの趣味をマイペースで楽しみたいのも同じだと思いますが、家とは違う環境で会話する時間をつくっているというわけです。
夫婦であえて出かける時間をつくる理由2つ
夫婦で出かけ、会話を増やしたいと思っている理由を紹介します。
●いつか夫婦ふたりだけになったときのため
夫婦で出かける目的は「会話」だと書きましたが、もう少し詳しく書くと、共通する趣味を1つだけでもつくっておいたほうが、いずれふたりきりの暮らしになったときも、コミュニケーションをとりやすいと思っているからです。共通の話題が、親の介護や持病のこと、老後のお金の話ばかりだったら、切ないですから…。
結婚前の交際期間中から会話は多かったし、夫が完全にリモートワークとなった今もよく話をしています。ただ、それだけに、年齢を重ねてお互いが頑固になってきたら、ぶつかる可能性が高いかもしれません。そんなときにも、共通の楽しい話題がひとつでもあれば水に流しやすいのではないかと思っています。
●夫婦の残り時間、いい思い出として残せるように
また、あとどのくらい元気で好きなように動けるかということも意識し始めました。結婚して35年、縁あって一緒に暮らしてきた人です。お互い不満もあったし、息子のことや義母のことで悩みもしたけれど、これからは自分だけの思い出も、夫婦2人での思い出も、つくっておけたらいいなと思うようになりました。
残り時間を具体的に意識するようになったのは、夫が定年を迎えた3年ほど前からのことで、私は60代になる直前でした。それまでは、介護サービスを利用させてもらったり協力しあったりして、別々に趣味を楽しみ満足していましたが、この気持ちに変化がでてきたようです。これは多分、お互いに。