年齢を重ね、物忘れによって生まれた不安

小笠原洋子さん
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年齢を重ねるたび、新たな不安もついてまわってきます。今、私を脅かしているのは、月々たった4万円の年金で、この先どうやって生きていけるだろうかということです。大病を患ったらどうしよう、地震で家を失ったらどうなるのだろう…という難題ももちろんありますが、物忘れへの不安も生まれました。

この夏、75歳の誕生日を迎えて後期高齢者になった私は、書留郵便で発送された公的な証書を受けとった記憶がまったくなく、再発行してもらうという事態になりました。発送記録があるだけに、なぜそんなことが起きたのか不思議でたまらなくなりました。

再発行されるのだから、それでいいと思えばすむことですが、私の受領書が郵便局にもあるとのこと。私はますます混乱し、自分自身への不信感で、不安は頂点に達しました。そして証書が、引き出しの中で見つかったとき、私はとても驚きました。大事にしまっておいた記憶がなくなっていたことの衝撃は、この先も同様の物忘れが度重なるかもしれないという、新たな不安材料になったのです。

それでも、もしこの再発行手続きを後まわしにしたり、追跡調査も依頼せずにいれば、不審感によるモヤモヤを放置することになり、それがいつしか得体の知れない不安感へと増大していったことでしょう。

不安は感じたら、すぐにでも「はっきりさせること」

不安は果てしないものではありますが、モヤモヤしている不安感は、「はっきりさせる」ことが、いちばん大事だと思っています。そして明確化された不安をどうしたら取り去れるか考えて、「行動して」みることです。今回の場合はものの見事に、“物忘れ”による私の過ちだったわけで、これからの生活に警鐘を鳴らしてくれました。そして今後は、書留便などの受け取りを手帳にメモしておくことにしました。

それでもなお、証書に同封されていた新しい制度の説明がよく理解できなかった、ひとり暮らしの私は、関係所に再び問い合わせをしたところ、丁寧な解説のおかげで、理解にこぎつけました。もし読解できないまま手続きを後まわしにしておけば、これも知らないうちに漠然とした不安感を膨らませる要因になりかねません。不安にならない暮らしは、不安感を言葉に置き換えてみること。そしてなにか行動してみることだと思っています。

小笠原さんの新刊『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社刊)は、発売中です。また、9月27日(金)20時放送の「あしたも晴れ!人生レシピ」(NHK Eテレ)に出演予定です。

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