生きていると、どうしても陥ってしまう「不安」な気持ち。人によって、日々の不安との向き合い方はさまざま。団地でひとり暮らしをする美術エッセイイストの小笠原洋子さんに、不安を少しでも軽減するために、日々意識していることを語ってもらいました。

小笠原洋子さん
小笠原洋子さん
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漠然とした日々の不安は、言語化して対策を

生活するうえで、不安をなくすことはできないと思っています。たしかに「備えあれば憂いなし」ではありますが、完全になくすのは難しいでしょう。私はその不安を解消しようとするのも、人間の自然のありようだとも考えています。とにかく極度の不安には、陥らないようにしたいものです。とくに私の場合はひとり暮らしですから、不安を数え上げたらきりがありません。

極度の不安に陥らないためにしていることは、ただ不安に怯えるだけではなく、その不安の中身を目の前に書き出すことです。そのことを恐れずによく見極め、自分自身を問う材料にできれば、ただの怯えから、それを克服しようとする意欲に変わってきます。漠然とした不安の場合、書き出すことではっきりすることもあるでしょう。なにかしら対策を講じようとする気持ちになり、行動してみるきっかけになります。

いつか起こる災害の不安は、日ごろの備えで解消

たとえば大型台風が来るというニュースがあったとします。もしも住まいの方角を直撃する可能性が報じられたりすれば、不安になるはずです。スーパーの棚がカラになったと聞けば、さらに不安は倍増するでしょう。

でも災害はいつか起こるもので、前もって備えておけば、不安も軽減させることができるはずです。ひとり暮らしの私がそういった災害への不安をやわらげるために行っているのは、部屋をつねに片づけることです。不要な物を処分して、買い占めをしないように、しっかり日頃から備蓄をしています。災害はいつ起こるかもわからず、完全に払しょくすることはできない潜在的な不安ではありますが、これを自覚していくことも大事だと思っています。